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Back To The Street ふろむ診療所

素人が間に入ると話が混乱する

先日、家にいる妻が電話で、「相談がある」と言ってきた。妻の相談の半分は大したことないので、「な~に~?」って訊いたら、自分の事じゃなくて、他人の病気の相談だという。妻は時々こんなお節介をするが、きっと自分も友達や知人に色々頼み事をしているに違いない。

話によると、「私達の長女の小学校の時の同級生のA君のお母さん(Bさん)から電話があって、A君のお兄さん(C君)の同級生(D君)のお母さん(Eさん)が、D君のお兄さん(F君)が、重症の腎臓病で透析が必要な状態であり、仙台に有名なG医師がいるから数ヶ月ほど仙台の病院に入院しなさいと、今日H県のI医師に言われたが、Eさんは事情でとても仙台には行けないし、どうしようか?と悩んでる、とEさんがBさんに電話してきた。そこで、BさんがEさんに、透析をやってる医師の奥さんに知り合い(私の妻)がいるから相談してあげると言ったらしく、Bさんが私の妻に、仙台にそんな凄い透析の病院があるのか私に尋ねて欲しい、と質問してきたので、教えてアナタ・・・」という非常に複雑な話であった。 

当然、私の頭は受話器を耳に当てながら混乱したので、「そのF君は、今現在も透析をしているのか?」とまず訊いてみた。そしたら、「知らないけど非常に重症らしい。でなきゃ、そんな遠くに行けとは言われないでしょう?」とのお答え。「病名は?」ときいても、「腎臓が透析するほど悪いらしい」とのお答え。

仙台には東京や名古屋などを凌ぐ凄い透析病院が有ったかな?って全然ピンと来なかったので、Eさんに「うちの病院に診療時間が終わった頃合を見計らって電話してもらうように、BさんからEさんに伝えてもらえ」と言って、埒が開かないウットウシイ電話を切りました。内心では、「どうせ民間療法に取り付かれたH県の変なI医師が、仙台送りをしようとしているのか?」と感じていました。

で、実際にEさんから電話があり直接話してみると、

「20歳位のF君は、6年前にH大病院で腎生検をしていた。蛋白尿があり、血尿はわずかだが、Creが1.1で、片方の腎は機能低下し、アルファベットの病名で、相当悪いから、仙台の病院で治療を急いでやるよう強く勧められた。」との事でした。

さらに根気強く詳しく尋ねて判ったことは結局、「IgA腎症で5年以上経過し、Creが1を超えてきているので、急いで仙台の堀田医師の治療を受けなさい。この先生は、扁桃腺摘出とステロイドパルスを組み合わせたIgA腎症の権威で、症例も治療成績も抜群で、I医師とも親しいから他でもやってるけど仙台がいいよ。透析はまだまだ随分先の話だけど、このままでは早晩なるよ。」と言う事だったらしく、やっと合点が行きました。おまけに、I医師は私の親しい医師であることも判明しました。

ただ、わざわざ遠い仙台まで家庭の事情を押しのけてまで行くかは、また別問題ですが・・・

「素人が間に入って医療相談しても、全く頓珍漢な相談にしかならない」という教訓でした。

 

読んでくれてどうもありがとう。

 

 

 (参考までに解説) 

慢性腎炎は完治が難しいとされてきたが、その中で日本人に最も多いとされる「IgA腎症」の完治を可能にする「扁桃摘出、ステロイド剤投与」の併用療法が行われている。

腎炎は、老廃物を取り除く重要なネフロンの機能が低下して、尿にタンパクや血が混じるようになったもので(1)メサンギウム増殖性腎炎(2)膜性増殖性腎症(3)膜性腎症に大別できる。

メサンギウムは糸球体にある細胞で、腎炎になると増殖して細胞内に細菌などから体を守るタンパク質の一種IgAが過剰に沈着するようになるが、これがIgA腎症だ。

IgA腎症はメサンギウム増殖性腎炎の3、4割を占め、日本人に多い。10-20代での発症が目立ち、タンパク尿や血尿以外は自覚症状がなく放置されがちだが、20年のうちに30-40%が末期腎不全となり、透析や腎移植が必要になる。従来の治療は降圧剤などの薬物投与と食事療法が主流だったが、病気の進行を遅らせることはできても、完治は望めなかった。

このため、のどの扁桃摘出手術と、水溶性ステロイド剤を点滴で大量に投与する治療を実施されるようになり、従来の療法をしのぐ効果が出ているという。


この治療法の基礎をつくったのが仙台社会保険病院の堀田センター長だ。IgA腎症患者の多くが、扁桃に雑菌による感染病巣を持ち、そこでIgAが大量に作られていることに着目したもので、「まず扁桃の摘出で源を絶ち、ステロイドの大量投与で糸球体の炎症を引き起こすシステムを壊す」と説明する。

同病院の実際の治療法は、扁桃摘出後に、3日間連続の点滴を4日間隔で3回行うステロイドパルス療法を採用している。2005年までに1000人以上のIgA腎症患者を治療した結果、かなりの高率で血尿もタンパク尿も消失する寛解(完治)となった。しかし、血尿が出てから3年以内に治療を始めた患者の8割以上が完治したのに対し、4年以降たった患者では完治する率が大きく落ち込む傾向がみられた。