Welcome To The Heartland

Back To The Street ふろむ診療所

学校を離れて一息ついて

未だに「イジメ問題」はスッキリとした方向性が見えてこない。加害者への配慮がこれほど行き届いた国は他に無いのではないか? ある意味では、誰にも住みやすい国であることよ・・・

虐めだけが問題で子供たちが病んでいるのでは無い。それは確かだ。中学から高校にかけての非常に難しい段階を、恐らく多くの人はギリギリでクリアしながら先に進んでいると思う。後で振り返った際、「あの場面でこうなっていたら自分は恐らく違った人生を歩んでいた・・」という感覚は誰しもが心に抱いているのではあるまいか。勿論、私にも何度かあった。

私の診療所に、ここ4~5年時々通ってきている女の子がいる。彼女は先頃、高校生を止めた。非常にしっかりした中学生という印象を最初にもった子供だった。何度かは親に連れられて来院したが、途中からは殆ど一人で来院するようになった。多くは、だるさ・頭痛・腹痛などの不定愁訴だったが、時に非常に激しい症状を呈し、夜間の救急外来へ救急搬送を私が依頼した事もあった。クラブ活動も学業もそれなりに上手くこなしていたし、充分な結果を残してもいた。ただ、笑みの中にも常に辛さが見え隠れしていたように私は感じていた。

年に数回とはいうものの気になって、来院時には心の内を探ろうと努めたが、ある日から早退する回数や倦怠感の自覚症状が強くなり、総合病院の精神科に通院するようになったパニック症候群の診断であったようだ。処方薬を服用していたものの改善は思わしくなく、私の診療所にもビタミン注射を希望して来院を繰り返すようになった。私には、精神科の通院自体が彼女の精神的負担になっているように感じられたし、問題の主体はどうしても登校自体にあるように感じられた。

しばらく姿を見なくなったと感じていたところ、久しぶりに笑顔で一人だけで診療所にやってきた。彼女は、派手ではない私服を着ていた。看護師と先に話をしていたが、学校を退学したという。ある日、学校で意識消失して大学病院の救命センターに救急搬入され、器質的機能的疾患が除外され、精神的なストレスによる意識消失との診断が下されたため、家族も納得の上で自主退学の道を選んだそうだ。成績も悪くなく、向上心もあるしっかりした子だったので、大検を受検して大学を予定通り目指すという。非常に晴れ晴れとした表情で、会話も無駄な力が抜けてナチュラルな雰囲気になっていた。

私は、これで良かったのではないかと思う。虐めとは無関係であったようだが、学校が必ずしも子供たちにプラスになるとは限らない時代である。必修単位や教科なども本当に何が肝心かも判らない。教師が人生の師と尊敬できるとも限らない。良い事か悪い事か一概には言い切れないが、現代社会は非常に価値観が多様化し、選択肢が広がった。

高校を離れた事によって彼女の世界は今後大きく変わると思うが、それはきっと良い方向への変化であろうと信じる。

 

読んでくれてどうもありがとう。