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Back To The Street ふろむ診療所

休診の難しさ

開業医は多分に体力勝負の面がある。ある意味、「健康」が自身や従業員の収入と生活に直結しているだけに、勤務医時代には思いもしなかった程の重圧を感じる。私の様に、借金が大きいとなおさらであろう。幸いにも開業して8年以上、日曜日以外に盆正月を含めて一度も病気で診療を休んだ事は無い。学会は東京中心なので、いくつかの専門医資格を維持するためには「代診」を置いて数回、診療所を留守にしたことはあったが、ここ最近の診療報酬の削減から、代診は置かずに、日曜日の日帰り学会(点取り)出張が主体になった。だが、最近では会期が土曜で終わるのも少なくなく、土曜日が休めない開業医にも配慮して、なんとか日曜日にも開催して欲しいと感じる。

そんな私が、開業して初めて、土曜の午後の2時間半だけだが、「代診を置かずに休診」をした。「往診」も基本的に断っているため、医師会から予防接種にかりだされて1時間ほど診療所を空けることが年に数回あるくらいであり、患者さんも「いつ行っても院長が診察する」と言う事で当院を選択している患者さんも少なくないようだ。だから、「往診」には行きたくても行けない状況である。実際には、寒さや荒天に耐えられなくて外出を控えている側面もあるのだが・・・

今回の土曜午後の休診は、医師会での住民対象の公開行事があったから公に休みやすかったのであるが、丸一ヶ月前から「休診ご注意」のポスターを貼ったり、受付周囲に「休診のビラ」を置いたり、土曜を中心に受診する人には「口頭でも休診」と念を押して周知徹底を図った・・・・つもりであった。心配ではあったが、これまで、土曜の時間切れ前後を狙って来院される患者さんもよくみられる為、処方切れに対する教育の意味もこめて、「一度思い切って休診にしてみよう」ということになった。

 

結局、2時間半の間に10人の患者さんが来院された。通常のその時間の患者数は15~22人ほどなので少しは効果があったのであろう。しかし、そのうち定期受診の方も8人おられ、ビラを直接手渡した方も数名おられたが、殆どの方は当院が休診をするなど全く考えてもいなかったらしい。コンビニ感覚なのかもしてない。往診にも行かないので、「午後診」もあまり患者さんが途絶えることは無いが、本当に休まなければならない時、例えば家族の事故や不幸などの際に、経営を傾けないで安心して休めるのか?という不安をいつも覚えながら診療している。「医局崩壊」のせいで、今後医局に「代診」をお願いしにくくなるのは眼に見えているため余計に不安である。

勤務医時代には「学会」その他、しばしば通常の診察日の「休診」が可能であった。時には他の同僚医師に「代診」を頼んで、「研究優先の休診」でも文句を言われる事は無く、むしろ「優秀な研究者は外来は休んで当然、入院患者の担当からも外してもらえる特権だ~」と恥ずかしながら、優秀じゃないのに思っていた時期もある。わざわざ大学病院を受診する患者さんに「代診・休診」がどう見られているかを考える余裕は無かった。

しかし、開業してみると、患者さんにとって「代診」がいかに無意味で不満の原因になっているのかを実感する。特に、事前に休診が分からずに受診した際に、「他の医師が出てきて、当たり障りの無いお茶を濁したような診察をして終わり・・」になると、患者さんは非常にガッカリしてしまうようで、開業医のところで不満を口にされることも少なくない。ワザワザ数ヶ月ぶりに出かけて行って、「開業医には及びもつかないレベルの診療」を期待していくためだろう。昨今の「予約制」になって、余計にガッカリが大きくなったようだ。患者さんは決して「代診」の診察には満足してはいない・・と感じる。その事は、勤務医時代にはなかなか気付かないものである。だから、開業医は余計に「代診」を置きにくい。

「代診」を置かない代償は、ストレスと健康被害と家族の犠牲とマンネリ化など・・・である。それに、「お金が払えなくて代診を雇えない」が加わると、開業医を永く続けるのは想像以上に苦痛かもしれない。

 

読んでくれてどうもありがとう。