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留学FAX通信

私が3年余の留学を終えて帰国してから もう10年以上が経つが、当時 こんなブログがあったらきっと楽しかったであろうと思う。

留学というのは、たとえお金に余裕がなくても海外生活自体が楽しいもので、日本の医局にいる同級生や後輩達にも何となく色々話して聞かせたくなる。特に、自分の留学先が先輩からの引継ぎでなく新規だったりするとなおさらだ。つまり、自分の境遇に不思議と浮かれてしまうのだ。ネットの無かった時代には広く伝える手段は無かったから、伝えたくても伝えられなかった人も多かっただろう。高額な電話は論外だし、主にFAXや手紙が幅を利かせていた。

「自分の事を伝えたがる人間・・」というのが居るし、私もその一人だったと思う。せっせと留学先の街や大学や研究内容までFAXで医局宛に送付したが、所詮一方通行である。特定の人に宛てたFAXではなく、研究上の秘密に近い事も漏らすわけには行かず、初めての留学に浮かれた若い医師が定期的にFAXを送りつけてきていると感じられていたことだろう。たまに、帰国して医局に行くと、「フィラデルフィア通信」と名前のついた色あせた私のFAX用紙が医局の廊下の掲示板に張ってあって、ナンとも気恥ずかしい思いを何度かするうちに、とうとうFAX送付を辞めてしまった。自分で見ても、文章だけを並べたFAX通信は面白くないし、何と言っても「読者」が歓迎しているとは限らない。嫉妬している人も居るだろうし、馬鹿にしている人も居ただろう。何のリアクションも来ないFAX通信は、自分の事を好意的に見てない人にとっては、たとえ同僚であっても無意味なものだ。私は関係なかったが、教授選レースを数人がしている場合には、敵意を持って眺める人も居たかもしれない。その点、ブログは自分で開いて読みに行かなければ邪魔にはならないし、コメントもリアルタイムで寄せられる。結構なシステムだし、留学中の医師達がもっと多くの街から発信してもいいのではないかと思う。

 

今なら、写真入りでリアルタイムに「匂いと肌触り」以外は簡単に伝えられるし、時差すらブログでは不満にもならないので、さぞ楽しかろう・・と思う。しかし、留学の秘密の部分もオープンになり、「研究上の秘密」を暴露してアメリカ当局から逮捕されないようにする工夫も必要かもしれない。

まあ読む方としては個人を毎日フォローするのは親友でもない限り少々大変だから、個人的な意見ながら、世界各国に散らばる医師留学生が4~50人程、各自が月に2~3度ブログ更新してくれると楽しいブログサイトになるのではないかと思う。

留学FAX通信とやらをやっていた時代が、懐かしくも恥ずかしくも感じられる今日この頃だ。若い留学生の皆さん、将来の教授を目指して、あるいは大きな夢を抱いて留学生活も楽しんでください。

 

読んでくれてどうもありがとう。