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Back To The Street ふろむ診療所

無駄な申請書類

診療所を開業していると、開設時だけではなく色々な書類作成が必要になる。多くは「めんどくさいけど仕方ない・・」と諦めて提出するが、時々どう考えても納得出来ない書類を要求される事がある。今年に入って既に2度、イヤイヤながら書類作成を行ったので忘れないうちに書き残しておこう。

いずれも、「法律の改正」に伴って生じた「書類の再提出」だった。保健所や県庁に「どうしてこんな無駄をさせるのか」と尋ねたが、彼らは案の定 聞く耳を持たず、「とにかく法律が少し変わったので、お忙しいのは分かりますが書類をくれ・・」だった。ムカムカしなければブログの記事にしなかっただろうが、半年経っても未だに納得出来ない。

一つ目は、3月の介護保険法改正の件。

従来の介護保険に介護予防給付が法律的に加わった。全ての「介護予防」サービス実施施設は、定款の整合性を求められた。定款に「**介護センターを運営し 通所介護サービスを行う」とある場合には、「・・・・・ 通所介護予防サービスを行う」と、定款変更が必要になったという。ところが、定款に「**介護センターを運営する」とだけ(いい加減に大雑把に)書かれている場合には変更がいらないらしい。市内にある数ヶ所のデイサービスセンターでこの定款変更が必要になった施設はナンとうちだけだった。他は少し以前に設立され、大雑把な定款のままで全て運営可能なのだそうだ。非常に不公平で理屈に合わないと感じた。

医療法人設立の定款作成と登記は大変な作業で、お金も期間も非常にかかる。「定款変更」も内容によっては大変な作業である。基本的には、これまでの要支援者が介護給付から介護予防給付に変更されただけで、実態は報酬が減った以外何にも変わらない「サービス名の変更」なのだが、定款でキチンと通所介護通所介護予防を分けなければならないらしい。しかも、大雑把なところは変更が要らず、キチンとしてるところに変更を求める。だいたい司法書士代が高すぎだし、法務局の登記費用はぼったクリ並だ。たった一言、「予防」の文字を入れるだけに10万円以上の費用と手間が生じてしまった。本当に正直者が馬鹿を見る制度だし、書類書類のクソッタレ・・である。

二つ目は、更生医療の申請書類だった。

更生医療には無縁の方が多く、医師であっても分かりにくい話であろうが、透析などの施設をやる上で「ないよりあった方が少し自治体にとって助かる」制度である。患者さんは外来透析だけだと関係ないし、医療機関からみるとレセプトの他に書類が増え入金が通常より遅れるので、本音では無い方がいい位だ。ただ、人工透析広告出来なかった数年前には「更生医療」が透析の看板代わりだった時期が続いていたので、医師の資格要件で取れるところは取っているのである。私のところも、開業3年目に申請取得したが、その前後で何にも実態が変わったわけではないし、いまや「透析の代わりの看板」にもならなくなった。

その苦労して提出した10枚にも及ぶ書類を再提出しろとの事だ。理由は障害者自立支援法が出来て、「更生医療」の基本法がそっちに変更になるからだそうだ。こちらは全対象施設に書類提出を義務付けして不公平感は無かったが、書類は前回提出分と寸分違わず、活字サイズや配置が微妙に異なるだけだった。しかし、ここで大変だったのは署名捺印の欄だ。医師の資格要件が主体の申請書であるゆえ、医学博士取得証明、研究論文一覧、透析研修施設一覧、指導責任者一覧などの記載が必要で、数ヶ所に指導責任者の署名捺印が必要であった。これは前回も同様で、前回以降は開業して自院での診療経験を追加記載すればいいので簡単そうに思われそうだが、案外問題があった。

まず、医局崩壊というか医局の再編が行われており、自分がいた時代の医局とは仕組みが全く異なっている場合が少なくない。私の場合には、大学在籍時には大講座だったが開業直後に二つに分裂し、規模が大きい主流医局は最近、講座名を変更した。途中で両方とも教授交代し他大学から新教授がやって来た。勿論、新教授とは面識は充分にあるが、両方とも分裂前の私の研修内容など時期がズレて知らないので本来なら証明のしようが無い。それでも、何とか署名捺印してもらったが、教授にお願い事をする事は精神的に案外大変な作業である。特にあまり懇意にしていなければなおさらである。またまた、盆暮れの贈り物が継続する事になるのである。

私の場合は、医局もわりと近く、物分りのいい温厚な新教授であったから良かったが、医局が統合されたり、指導教官が死亡していたり ボケていたり 遠方にいたりしたら大変だ。ましてや、医局と喧嘩別れした場合には再度印鑑を貰うなどお互いに嫌だろう。開業医が主な対象だろうから、指導教官が全く医局に残っていない事もあろう。なにかと大変なケースも想定されるのだが、医師以外には分かりにくい苦労だとみえて、「前回提出分のコピーじゃダメですか?」と言っても、県庁も保健所も全く聞く耳は無かった。

この2回の書類提出は、私には全く無意味なお役所仕事としか思えないのだが、「出さないと認可をしない」と脅されると、従業員や家族の路頭に迷う姿がまぶたの裏に浮かんできて、気の弱い私は一応お役所に文句は言いながらも、最近やっと無事に書類を提出し終えたのでありました。

 

読んでくれてどうもありがとう。