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Back To The Street ふろむ診療所

無理な計算だね

夜の6時から8時まで診療所をオープンして(病院へ押しかける軽症患者を診て)くれれば、少し診療報酬を上乗せしますよ・・・ 厚労省が全国の診療所に御用マスコミ様を通じて押し付け工作をしています。

これが決まれば開業医の生活はどうなるんでしょうか?

murajunは思索します・・・

今の僕は「どんだけ~?」働いているでしょう? とりあえず「外来オープン時間」を計算してみました。週52時間が今の正式な外来オープン時間です。勿論、「院内滞在時間」はもっと遥かに多いです。夜間透析もしてますから、週に3度は11時近くになりますし、祝日や盆正月・GWなどもありません。時間外連絡も多いほうかと思います。

仮に夕方の「6時~8時」を正式オープンしますと、土曜日曜日を除外しても、週に10時間増えますので「週62時間が最低限の診療時間」となります。

お店や会社などと違うのは、「休診」がしにくいことですね。また、開業医には「代役」がいませんから「他の人に任せて休養をとったり用事を済ますことは出来ません。

『開けてると思って来てやったのに閉めてたら薬が切れて具合が悪くなったぞ 貴様どうしてくれるんじゃい?』という人が必ず数人出るんですね。正式に届出をすれば、医療機関の場合、健康問題を人質に必ずオープンが求められますね。閉めてて開けるのは感謝されても、開いてるはずが閉まるのは批判されます。

僕は実際この10年、ほとんど休んだ事はありません。3年に一日位「代診」を頼んだかもしれません。幸い病気もせず、家族の不幸もありませんでした。祖母の死亡時は通常通りオープンで乗り切りました。でもいつまで幸運は続くんでしょう?

ま、僕のことは良いでしょう・・・ 問題はスタッフです。

 

開業医が「普通のレベル」の診療を安全に行うためには、たとえ6時から8時でもスタッフの勤務を必要とします。たとえ「軽症」と患者が思っても「重症」も時に紛れ込んでますので、看護師2名と事務1名は昼同様に必要でしょう。逆に言えば、スタッフも居なくて良いほど軽症なら診なくても良いくらいでしょう。でも開業医としては、実はこの人たちの「労務管理」が大変です。

 

「厚生省様」はドンドン働けといいますが、一方の「労働省様」は週40時間で超勤は割り増しをといいます。「有給休暇」もあげてくださいね。「介護休暇」も「生理休暇」も必要ですよ。予定ドウリ延長しますと、週に10時間を3人分、計30時間の労働時間が増加します。「超勤」扱いでは1.25倍の割り増し・・看護師の時給割りで1400円位としますと、週に52,500円、月に220,500円位の給与増加になります。保険料なども相対的にアップしますので、月に25万円以上の給与額アップとなります。当然、開業医の収入は無しでの話しです。

この「給与支払いアップ」を(医師などの給与であるらしい)診療報酬で得るためには、患者単価が仮に3,000円としても一日3.5人の患者数の「純増加」が必要になりますが、ほとんどは昼来るはずが夜来たという具合でしょうから患者増で賄えるはずはありません。また、これまでは「時間外扱い」だったのが「時間内診療」になりますので加算も付かず、アップどころかマイナスもありえます。つまり、8時までオープンしても職員の人件費さえ出ません・・・ 

調剤薬局」なんて完璧にその時間は赤字でしょう・・・閉められたら診療は無理です。

また、開業医の無床クリニックに勤務する看護師は「主婦層」が多く、夫々が家庭を持ってますので病院での夜勤や当直を嫌って開業医の安い給料に甘んじているわけですね。当然子供や旦那が居れば夕食の世話もありますから、8時までの診療所は敬遠され退職者が相次ぐでしょう。この看護師不足のおり補充する苦労は大変です。8時までの診療所より5時や6時までの診療所のほうが看護師には人気が出るのは当然です。つまり、8時までオープンしますと、患者は来ても肝心の看護師が来ないことになります・・・

診療報酬を少し上乗せしますよ・・と言われてもどうせ2年で撤回ですし、一度延ばした診療時間はとっても縮めにくいものです。短縮したら馴れた患者は他へ移るでしょう。

しかも「8時までやってます」と公言すると、8時直前に患者が来て点滴を要求されれば9時です。今までは6時までが7時に延びても平気でしたが、8時が9時になったら(看護師さんは)平気じゃありません。時間外加算が2時間分減るわけですね。上乗せどころか、大きく減らして少し上乗せする・・・結果はマイナスですね。

6時までの病院のバックアップ体制と8時までの体制は大きく違います。当然診療のリスクは倍増します。院内での事件も生じやすくなりますが、警備員は夢のまた夢です。

 

個人的な悩みとしては、夕食時間が遅くなれば「デブな医師は更にデブになり、メタボ指導など恥ずかしくて出来なくなり」患者が笑いながら離れます。

また、あまりコメントされませんが切実な悩みとして、開業医は7時~9時の講演会や研究会出席でかろうじて最新の知識を吸収しようと努力しています。しかし、講演会に出席が不可能になるので8時まで診療すると確実にレベルが低下します。結果は患者離れや誤診で、収入も名誉も暇も減ります。

もし都市まで遠いと更に講演会に出れなくなりますので、知識を維持しようと田舎や過疎地の開業医も都会回帰を志向します。結果的に田舎と都会の格差拡大が進みます。

月に40時間以上も労働時間が増えて、夕食時間が8時以降になればメタボの観点からも精神衛生上からも医師の平均寿命は更に短くなります。

 

つまり・・・

もし6時から8時まで毎日診療をするようになると、

収入は増えずに減って、リスクの高いモラルの低い患者が増え、看護師には逃げられ、自分の余命を縮め、医学の進歩に遅れ、弱ったデブになり、患者よりも健康を害し、家族からは都会へ行こうとせがまれ、2年後に厚労省に騙されたと後悔し、早期に診療所を閉じる事になる・・・・

という不幸な未来が貴方を待っているかもしれません。

やっぱり、8時まで診ない方が、自分のためでもあり、患者のためでもあり、スタッフのためにもなるようですね。

 

読んでくれてどうもありがとう。