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対立の構図を誤るな

日本医師会」vs「小松先生」の話題に関連して若い先生方に誤解があってはいけないと思い、もう一つだけ書いておきたい。

多くの勤務医の皆さんのブログには、「開業医」vs「勤務医」という対立の構図が見え隠れする。その根底には、「開業医」=「日本医師会」という通念があるのだろう。一部の勤務医の方の人気ブログには、「開業医と勤務医とは全く別の人種なんですよね」とか、「資本家である開業医 vs 労働者である勤務医」という表現がなされ、両者の「利害の対立構造」も通念となりつつあるかに感じて悲しくなった。

だが、そうなのだろうか?

資本家と労働者、経営者と勤務医との間に利害関係の対立が生じるという考えは否定しない。しかしながら、「大罪を犯した日本医師会」の大部分を構成する「一人医師開業医」は、勤務医と対立する資本家や経営者であるわけではない。自院の職員にとっては経営者であるが、勤務医との間に「資本家 vs 労働者」なる対立構造は本来成り立たない。

 

僕自身、3年余りの留学期間を除いても10年以上の勤務医生活を経験している。政治的には無党派であり自民党とも共産党とも組しない。そこで学んだ事は、「勤務医にとっての資本家は、その病院の経営母体である」ということだった。

県立病院なら病院長の他に県知事や議会、民間病院なら理事長や病院長、国家公務員共済組合立なら官僚組織・・・などという感じだ。ただし、大学病院の場合には「篤き師弟関係が医局先輩がた」と形成されてしまうので、トップたる教授を飛び越えて病院長や理事長などへの意見や要望が向いにくいし、特有の複雑なシステムが障害となってしまう。

 

昨今では、官僚の「開業医vs勤務医」の診療報酬の分配合戦に適当に乗せられて泥仕合をさせられつつあるが、勤務医たちにとって本来向うべき相手は自分の勤務する病院の経営陣のはずなのである。勤務医の先生方は、自分の病院内の医局会などで不満や要望をドンドン挙げて経営陣に適切な方法で繰り返し繰り返し要望していくことが肝腎であり基本ではあるまいか? 

その場合、必要とあらば労働基準監督署や新聞社などのマスコミを活用すれば効果的でよろしい。順法闘争という共産党的単語を使用するのは胸糞悪いが、若者の特権たる「正論」を繰り返し繰り返し述べ続ければよろしい。そうやって「適正な待遇」を勝ち取って行くための作戦が勤務医には早急に必要となるのではなかろうか?

勤務医は団結して早急に勤務医団体を作ることが肝要・・という意見には賛成であるが、向うべきは開業医とか日本医師会ではなく皆さんの働く「病院経営者」であるべきだ。給与が何処から支給されているか給与支払い明細書を見てみてはどうか? 国立病院なら官僚たちを相手に行動を起すべきであり、民間病院勤務であれば経営者や理事長へ行動を起すべきである。そういう意味での勤務医団結であれば、僕は小松先生や本田先生の呼びかけには大いに賛同したい。

 

日本医師会」の問題に話をもどそう。

勤務医の先生方の矛先が向ってしまっている日本医師会であるが、そのA会員の90%は僕の様な「零細開業医」のはずである。そんな日本医師会の中で幹部になっている人たちは、朝から晩まで医師をしなくても良い人たちである。つまり、病院経営者だったり 後継者が戻ってきた安定経営の開業医であるはずである。でないと会合や陳情などはできっこない。良く見ると、政策の多くは零細開業医ではなく病院側に有利になってきている。

かつては頑張れば診療所が病院に出世できたが、現在では零細はずっと零細であるし病院に出世できない。しかし一部の病院はというと、情報や権力と接近して資本投下を図りつつ大病院グループへと成長を図ることがむしろ容易になった。中小はより零細に、大はより巨大に・・という構造が医療でも介護福祉でも出来上がりつつある。

 

日本医師会の大部分を占める零細開業医は大資本の前に完全に大人しくなってしまっているだけであり、勤務医との利害の対立など念頭にも無いはずである。本来であれば、零細開業医も頑張れば病院へと発展が容易になるような政策を日本医師会を通じて求めていく事が肝要であるはずなのに、「大名家のような病院経営者」と「旗本のような零細開業医」との間に身分の隔絶が生じてしまっているのではないか? 誤解を恐れずに言えば、最近開業した零細開業医の多くは日本医師会の中での「ワーキングプア」なのである。

周りを見渡したら簡単にわかると思うが、「開業医」といっても子供や妻や兄弟などに「勤務医」が沢山いるのが普通である。僕も義兄弟や親戚には何人もの「勤務医」がいる。ドウ考えても「勤務医とは利害関係が対立する」などという考えは浮かんでこない。

 

長くなってもボロが出るのでこの辺にしておくが、若い勤務医の先生方には、「対立の構図を誤らないで欲しい」と重ねてお願いしたい。

 

「敵は開業医にあり・・ではなく、敵は病院経営者だったり官僚だったり政策担当者」なのである。この政策担当者に与党議員がいたり、日本医師会の幹部の一部が纏わりついていることを決して否定はしない。

そして間も無く・・・・・、

オリックスを始めとした「本当の資本家達」が「労働者である全ての医療関係者達」から上前を撥ねようと虎視眈々とねらって主戦場である「経済財政諮問会議」に力点を集中してきている事を 全ての医師集団は注意しておく必要がある。

我々全ての医師たちは「対立の構図」を決して誤ってはいけないのであり、勤務医と開業医は連立していく事がこれから益々肝要だと言っておきたい。でないと、オリックスには簡単にひねられてしまうであろう・・・

 

読んでくれてどうもありがとう。