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H5N1  その④

勤務医と開業医が争ってる場合ではない・・・という前置きをした上で今日も恐い「H5N1」の続きです。 

 

新型インフルエンザ「H5N1」が強毒性ウイルスであるという仮定で国や自治体の対策マニュアルや行動計画は策定されています。そこで今回は「H5N1」の本の内容ともリンクさせながら各論に関して考えてみたいと思いが、まずは今年1月にまとまった厚労省の対策を示してます。

実際に、その後にまとめられている各自治体の対応計画や本書のシュミレーションもこの流れに大筋で沿っています。 (以下、コピペ)

 

 

新型インフルエンザ対策指針案のポイント

.第1号患者など国内発生初期には、その家族や職場などの全員に抗ウイルス薬タミフルを集中投与する。
 

.感染防止には、不要不急の外出をしないという原則をもとに、家庭も流行に備え、2週間程度の食料、水、日用品の備蓄をする。
.企業は、事業の一時縮小や従業員の自宅待機も検討する。
タミフルは、患者周辺への予防投与(1)を拡大防止策の柱とするが、拡大を押さえ込めなければ予防投与をやめ、入院が必要な重症患者に優先投与する。外来患者への投与にも①医療従事者、社会的機能維持の関係者②重症化のリスクが高い人③小児・高齢者④成人-と優先順位をつけた。

.国が準備中のワクチン接種対象は、医療従事者とライフライン(電気、水道、ガス、食料供給、交通などの関係者)、警察など社会機能維持関係者に限る。
.流行後製造するワクチンの摂取対象は、死者を最小限に抑えるために病人らを優先する案や、将来を考えて子供を優先する案など複数の考え方が示された。
.流行拡大で死者が多数に上り、火葬場の能力を超えた場合は、土葬も検討する。
 

さて、いかがでしょう? 多くの医師の皆さんは既にご存知のはずですが、当院のスタッフや家族などもまだまだ認識は不十分なようです。

今日は(1)に関しての話を少しだけしましょう。 

小説の中では2007年11月に日本人第一号患者が東南アジアから福岡空港へ帰国してきます。空港検疫官らはPCR検査のトレーニングを受けていましたが、発症前の帰国で空港検疫は素通りして、彼は夜になって自宅で発症します。そのまま翌日に職場へ行き、商談で九州各地から集まった人々に感染させて、その人たちが数日後に各県で感染源となります・・・・・。 

現在の空港検疫は「発熱や咳」など既に発症している人をウイルス検査の対象としているようですが、重点空港である成田・関空・名古屋・福岡だけでは絶対に防ぎきれない程に諸外国との国際線が増えています。衛生面に関して言えば船も可能性がありますが、潜伏期の関係で発症後となるでしょうから何とか水際で検疫可能かもしれません。

 

最初の患者は発症後に救急車で救急病院に運ばれた。渡航先情報から疑われ、保健所へ通告し、福岡市で唯一の感染症指定病院へ転送・入院、H5N1感染が確定した。実際にはその間にも数名に感染してしまっており、ここから更に感染が拡大していく。

100万都市の福岡市にも感染症指定病院は「こども病院」たった一ヶ所しかない。何ベッドあるのだろうか? 診断確定後の搬送・入院の場合には他の患者などとの隔離が可能であろうが、即時確定診断が不可能である以上、接触は不可避であり感染は当然広がる。上の写真はある自治体の搬送訓練の模様だが、パンデミック初期段階ではこのような厳重な防護服を着て診察も搬送も不可能である。

例え病院に搬送しても、治療としてはタミフル投与しか現時点ではなさそうだが、昨今の様に「タミフル悪人説」をとる日本人の多さを思うとガタガタ煩く騒ぐ人々の姿が浮かんでくる。そもそも(4)にあるように、感染拡大した場合にはタミフルは医療現場から姿を消してしまう事が確実かと思われるが、備蓄タミフルの「適切な配給」を誰がどう仕切るのか・・・どう考えても命がけであるだけに大混乱となろう。 

 

可哀想だが、(効かないかもしれないが)ワクチンを接種していなければ、最初の救急病院の医師と看護師は死んでしまう・・・・

 

次回は(2)以降を続けて書きたい。

 

読んでくれてどうもありがとう。