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兵庫の吐血で想い出した

昨日の兵庫の吐血・・・夜中の0時に虚ろになって吐血して、18ヶ所の病院に救急隊が電話して「受け入れ困難」で最後に2時過ぎに赤穂にたどり着いたが死んでいた・・・ドウなんでしょう?

肝硬変で非代償期、肝性脳症なのか貧血性なのか意識混濁の理由は不明だが、結果的に食道?静脈瘤からの大量出血でなかなか救命は出来なかったんでしょうね。真夜中だと電話連絡自体も難しくなりますよね。

3年間もこの病態で放置してたのは完璧に覚悟の上でしょうし、もし覚悟してなかったのならば・・・ちょっと適当な穏当な言葉が思い浮かびません。でも、もしも主治医が居れば何とか結果も異なったかとは思います。

 

この件で数年前の出来事を思い出しました。

僕は肝不全の食道静脈瘤破裂の急性期の患者を開業するまで直接担当した事はありませんでした。どれ程の修羅場になるかも救命センター研修で遠目に学んだだけでした。でも、開業すると色々経験するんですね、イヤでも遭遇します。僕の場合も夜中の1時頃でした・・・

 

外来患者が「夜になってフラフラするから点滴してくれ」と往診依頼の電話をくれました。夜の1時頃で、その患者の自宅を知らない僕を息子が迎えにきて(断りきれずに)先導してくれました。この時点で胃静脈瘤からの出血性貧血が恐らく進行していたわけですが、僕はその時点で大量出血を確診できず依頼通りに点滴して夜2時頃に帰宅しました。

朝の5時頃に再度電話があり、血を吐いて意識レベルが少々オカシイと再度の往診依頼です。少量の吐血と低血圧、顔面は蒼白でこの時点で初めて静脈瘤の出血に違いないと診断しました。僕は循環器科専門で、診療所に戻っても何も出来ません。でも電話だけは出来ます。この病態は近くじゃ無理と判断し、最初から20km遠方の救命センターに依頼し救急車に同乗して沢山の病院を通り過ぎて7時前に搬入しました。

 

結果は首尾良く救命出来、僕は救急車で診療所へ戻り、9時からそのまま外来を行いました。僕自身は診察と点滴と入院依頼電話しかしませんでしたが、たった一ヶ所しか電話もせず「たらいまわし」等は全く生じませんでした。

朝6時に周辺の18ヶ所の病院に電話しても受け入れや緊急治療が無理な事は明らかです。同乗すれば診療所の診察に影響が出ることを心配しつつ、最初から20km先の病院を選択しましたので救命可能だったと思いますが、これなどは主治医がいて電話したからだと思います。主治医が居ないと救急隊員が電話するんでしょうが、相手からの信頼度が違いますよね。

 

色んな問題が生じていますが、患者が必要な定期受診を中断して野良に放置の状態になると、極端に病診連携が取り難くなると感じます。当院の周辺の病院に関しては、僕が電話依頼する限りは断られません。でも日頃から入院適応は厳密に判断して、相手専門医からも信頼を得ておく必要はあると思います。

『あの開業医さんが今の時間に紹介してくる以上、入院適応をしっかり見極めているはずだから何が何でも受けてあげよう・・』と病院専門医から思っていただけるよう開業医も地道な研鑽は必要でしょう。

以上、兵庫の報道から数年前の吐血患者を想い出しました。

 

僕は勤務医と開業医が協力し合うと何とか良い方向が見えてくると思うんですが、争ってばかりではいけませんね・・・

ついでに言うと、救急隊とも良好な関係が必須。同乗して帰院する時に先程の症例を検討しあいながら時間を有効利用しましょう。救急隊の方には生きた勉強にもなるようです。

 

読んでくれてどうもありがとう。