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医師不足のトバッチリ?

当院がある@@地域は、医師不足より(過疎も絡む相対的)患者不足とか医師過剰が囁かれる全国でも珍しい平和な田舎である・・・と僕は信じている。

 

病診連携もほどほど上手く行き(今日も三人紹介状を持って行ったし、一人持ってきた)、数ヶ所の産婦人科も患者待ちで、小児科は365日24時間救急を謳う総合病院にも近い。一時間も救急車を飛ばせば600床クラスなら5~6箇所もあって、普通の深夜救急では断られた記憶も無く、医師不足にはあまり縁が無い地域である。

 

嘘じゃないし、大げさでもない。もし暇なら僕の過去記事を検索すると判ると思うが「このあたりの医師不足」を嘆く記事を書いた記憶はあまり無い。娘も産婦人科になりたい・・と未だに言っているほどだ。

その僕が「もしかしたら医師不足のせいかもしれない・・」と今日は書くことにしたが、例によって少々捻くれたマスゾエ調の記事になることをお許し願いたい。

 

さて、最近は寒くなってきたせいか、当院の標榜する循環器科にはそれなりの新患さんも少なからず紛れ込んでくる時期である。イージーケースも多いが、悩ましいケースも少なくない。もっとも悩ましいケースは近所の総合病院で循環器専門医が永年診療を続けて来て最近少々不安定に成りだした高齢の患者さん達だと(僕の場合には)感じる。今日もそんな患者さんが3人ほど来られた。

 

こういう場合、ほぼ共通するのは・・・・

70歳以上(本日の平均78歳)、独居か老夫婦暮らし、狭心症心不全不整脈の不安定期、リスク要因や合併症多し、悩み訴え型性格、夜間や早朝の発作性症状、通院手段が乏しい、そして・・・既に各種検査施行済み

要するに色々総合病院じゃないと出来ない検査を既に全てやって、循環器専門医が苦労しながら色々匙加減で工夫しても年齢のせいもあって安定させにくい本物の病態を隠し持った患者さんがたである。つまり、本当なら「当院で持ちきれなくなって検査も入院も出来る総合病院に紹介状を持たせてお願いする」ような悩ましいケースである。

しかも、こんな人は自分の病態は不明確にしか理解してないし、今日の人達なんか全員が心カテまで済んでて何にも自分は知らずに家族も連れず紹介状も持たずにやって来た。当院じゃ出来ない検査を沢山済ましてるのに、10年分の資料が全くの無駄・・・困ったもんだ。入院も出来ないのに深夜と早朝の発作を揃いも揃って持参して頂いた。

 

で、『どうして~ どうして当院に来たの~ そのまま総合病院が良いんじゃない?』って皆さんに聞いてみることにしている。その答えとは・・・

 

「ここの先生がハンサムだから・・」とか 「他の患者から上手と聞いたから・・」とか 「待ち時間が少ないから・・」とか 「日曜でも夜でも診てくれそうだから・・」とか 「クルクル医者が変わらないから・・」とか 「優しそうだから・・」とか シバシバ聞こえてくる様な意見ばかりだったら全然驚かないのであるが、今日は少々驚いてしまった。なんと・・・

曰く 「先生が何年も全然聴診器を当ててくれない・・」とか、「血圧測定も上着を数枚重ね着しててもその上から・・」とか、「この数年病気の説明を全く聞いたこともないし薬も変わったこともない・・」とか循環器内科専門医としては少々デリケートさに欠ける扱いをしているようにも聞こえる。僕も昔そこで科長職をしていたが、最近民営化して売り上げ増に苦心しているとは聞いていたが・・。今度そこの後輩にあったら話してみようかとも思う。

 

でも多分、入院外来当直と忙しく働きながら、現在の不条理な医療制度を嘆き苦しみ、一縷の望みたる全日本医師連盟に期待して全力で頑張っているに違いない・・と思う。個人的には「いいやつ」だと知っているのでワザと手抜きをしているのではない・・と思う。

こんな悩ましい患者が無床診療所に次々に紹介状も持たずに流れてくるのはある意味では「医師不足のトバッチリ」かも知れないと感じる今日この頃である・・・

 

読んでくれてどうもありがとう。