Welcome To The Heartland

Back To The Street ふろむ診療所

銃を持つ患者

院内での患者やその家族や取り巻きによる医療関係者への威嚇や脅迫は間違いなく医療崩壊への引き金になる。武器を携行している場合はなおのことだが、昨今の日本人はナイフを隠し持っている若者が大手を振って学校や巷を闊歩しているのが野放し状態なので、今日のアカガマ先生の記事から飛ぶ記事のような院内恐喝事件が簡単に起こる。なんとも現代日本のモラル低下はおぞましい・・・

 

「引き金」でちょっと思い出したので「昔話」を書いておきたい・・・

その昔、僕が秘かに教授を目指して研究生活に重点をおいていた30代前半のある日、僕は研究用に必要な血液を採取するために、当時の教授を受診していた50代後半の患者さんに採血の協力を仰いだ。

 

400mlと少々多目の採血量で、平身低頭の若き前途有望なハンサムな心優しい医師(つまり僕ですが)、冷静に採血を終えました。患者さんも特段嫌な顔をせず、マッタリと世間話をしておりました。ところが・・・・

根っからの僕の親切な心が要らぬお節介をしてしまいました。採血は診察室で二人っきり(男性患者ですが)で行ったわけですが、診察ベッドに無造作に脱ぎ置かれていたジャケットを僕は綺麗に畳んで患者さんにお渡ししようと手に取りました。

そうしたら・・・やけに「重いもの」がジャケットのポケットに入っておりまして、とっさに支え持ったのですが、そこには黒光りする銃口が僕に向って飛び出していました・・・

 

当然ながら先程まで気軽な会話をしていた患者も僕も、急に気まずい雰囲気になりました。患者は僕にキツイ目を向けてきましたが、ユックリと手を伸ばして僕からジャケットと拳銃を受け取りました。僕の手は震えたりはしてませんでしたが、何を話していいか判らなくなって思わず危険な会話を口走ってしまいました・・・

『これが拳銃ですか? 僕は猟銃が家にあったので何度も持ったことがありますが、本物の拳銃を持ったのは初めてです。本物でしょ?コレ・・』

患者の鋭い目で見据えられ、どんな答えが帰ってきたかハッキリは聞き取れませんでしたが、直ぐに会話も途切れて患者はそそくさと診察室を出て帰っていきました。決して危害を加えそうな患者にも見えず、採血を協力してもらった直後でしたので僕の対応も曖昧でした。

 

採血道具などを片付けて診察室を出てこのことを同僚達に話すと、全員が血相を変えて僕を批判します。当然といえば当然です。

『お前は馬鹿か? 何てことしたり話したりしたんだ? 拳銃を隠して携行して院内に受診に来るなんて完璧に違法だ。どんな患者だった? さっさと警備員に通報しろ、ボケ・・』 といった強烈な批判でした。当然ですね、拳銃をポケットに入れて受診した患者をそのまま帰したのですから・・・

ま、僕自身が患者に拳銃を向けられたわけではないので恐怖感は全然無かったのですが、当時の僕は暢気なものでした。

昨今の医療現場の崩壊状況、モンスター患者や医療訴訟の嵐を見るにつけ、こんな事が将来の病院内で日常茶飯事に成るんでしょうか? 日本流のネチネチした影の脅迫も恐いですが、拳銃でズドン・・・というのも恐いですよね。

こんな美女なら殺されてもいいですが・・・

 

 

ただ、この話はアメリカ留学中の話ですので、実話ですがテキトーに聞き流してください。

 

読んでくれてどうもありがとう。