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同窓会③(最後)

先日の同窓会に出て感じた事を忘れないうちに書き残しておきたい・・・これが最後だとおもう。

年末の高校の同窓会、実に30年ぶりだった。男子校だったので女性はおらず、変に気を使ったり気まずい思いも少なかったが、やはり30年の月日は短くはない。

 

前にも随分と僕は「想い出話」を書いてきたが、高校を卒業しての30年間に沢山の出来事があり、中学高校の同級生と大切な「想い出」を共有できる事ばかりではないが、「思春期」という恥じらいを帯びた言葉が今も使われるとするならば正に思春期の尊い仲間達だった。

皆と一緒に卒業して・・・

  みんなと違う誰も知らない予備校に行った。

  大学・医学部では同級生は一人だった。

  卒後・入局後も同級生は一人だった。

  留学してた時は当然誰も同じ都市にはいない。

  透析医療を正月もしてる同級生は全部で三人だけ。

  同じ医師会にはやはり同級生は一人だけ。

考えてみると卒後に随分みんなと違う道を歩んできた。恐らく同級生の誰もが似たようなものだろう。どんな人生を歩んできたのか知ってる友人は極少ない。どんな伴侶と長い月日を歩んできたか、それも知らない。日々何を感じ何を周囲の人々に語って暮しているのか、それも僕は全く知らない。

同じ高校を一緒に卒業して僕らは・・・

恋愛に溺れ、クラブ活動に夢中になり、思想的に苦悩し、ただ一人の女性を決めて結婚をし、新しい命を育て、仕事の修行をし、他者のために仕事に責任を持つ・・・ そして30年。

坂を這い上がり登り、崖をよじ登り、嵐をやり過ごし、眼を凝らして岐路に佇む。時には眠らず心躍らせ、時には疲れ果て泥の様に眠り、酒を浴び、歌を謳う・・・そして30年。

 

ある女性から頂いたコメントにこんな言葉があった。

人は誰でも「選ばなかった」あるいは「選べなかった」道に想いを残しながら生きているような気がします・・・

 

僕も全く同感だ。それは仕事であったり、結婚相手だったり、学校や趣味や住まう土地だったり、暮らしの文化や国だったりするかもしれない。恐らく人によって様々に違うであろう。僕ら男性と、コメントを頂いた女性でも異なるかと思う。恋愛に関しては共通の想いがあるのかもしれないが、女性の方が誰と結婚するかによって運命も人生も大きく左右されるかもしれないし、人生を選択できるのかもしれない。

同窓会の夜更けに観た映画「愛と青春の旅立ち」の中に二組のカップルが登場するが、女性を愛し愛されながら求婚するも仕官学校を退学した男性は「仕官候補じゃなきゃイヤだった」女性に受け入れられるはずだった求婚を拒絶されショックで自殺する。「生活というウスノロ」が人生にはどうしても付きまとう。いずれ仕官となる訓練生や、いずれ教授となる研修医・・・分かっているようで20年後30年後の未来の状況は分からないものだ。

 

手放した夢、選べなかった夢を、数十年も後になって「あれは悔むほど大したことは無かったし、今の自分の生活が一番だよ、幸せだ・・」って確認したくって誰もが頑張るのかもしれませんね・・・ とも彼女はコメントしてくれた。 

  夢は無理しても掴むべきか? 

  他の夢を追いかけるべきか? 

  手放した夢を再び追いかけるべきか? 

  いつまで夢を追いかけ続けるべきか? 

  夢は相手に伝えるべきか? 

  夢は家族と共有すべきか? 

  夢は最後まで掴まえなくてもいいのか? 

  そして 恋愛も夢の一つか・・・? 

同窓会も真夜中を過ぎた頃、ある同級生が突然、「@@ちゃん綺麗だったね」って言い出した。僕らには女性の同級生がいなかったが、周囲の皆が「@@ちゃん」のことを知っていた。僕自身も12歳の時からず~っと好きだったし、今誰と結婚しているかも(知りたくないけど)知っている。でもまさか女性の名前が同窓会で出るとは想像もしていなかった。みんなが「何故お前が言うのか?」と驚いたのだが、三次会は一気に@@ちゃんの話で盛り上がってしまった。

 

『俺のマンションに@@ちゃんを泊めた事ある、何もしなかったけど・・』とか、『コイツが蛇の様にしつこいアイツに紹介したばっかりに・・・』とか、『そのコイツと俺は、乗馬とローンテニスのデートに行ったけどテニスが苦手だったから悔しかった』とか、『バーで秘かに準備したBouvardiaの花束を渡したけど、花言葉を緊張で忘れた』とか、『彼女が医者の娘だったので俺は文系から医者に転向した』とか、『内科の娘だったので内科になったら実は外科医が好きで振られた』とか、『医者になって告白したら既に婚約者がいたので長く落ち込んだ・・』とか、沢山のエピソードがドンドン出てきた。その多くに僕は絡んでいたが、知らなかった話もあって・・・「もし彼女と結婚していたなら、今頃俺はどうしていたのかな?」と少しだけ想像してみたが・・・何故か何も具体的には浮かばなかった。あれほど好きだったのに・・・

 

家に帰り、娘達と妻の寝姿を眺めながら、もう一度この30年間を振り返ってみた。そして朝早くに妻を起して僕は耳元で囁いた・・・

『俺が同級生で一番幸せだったようだ。全部お前のお陰だ、感謝している。これからも仲良くしよう、子供も頼むよ・・』

 

たくさんの夢を適えられずに過ごしてきたかのような30年間ではあったが、「選ばなかった人生」 「選べなかった人生」 を無理に忘れなくても良いんじゃないか?って開き直れた同窓会の夜・・・・ これもまた、いつか「想い出」になることだろう。

 

読んでくれてどうもありがとう。