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Back To The Street ふろむ診療所

不安と期待の新年初日

今日は外来診療の新年初日であった。やや混乱したが予想よりも静かな一年の始まりだった。大晦日以来の急激な寒波も一段落の様相を見せている。

しかしながら、当院では最初から不安を抱かせる事が起こった。

 

透析患者の肺炎である。いや肺炎だと思う。ぜひ肺炎であってくれ。

免疫能が低下した透析患者の肺炎は必ずしも珍しいものでもないし、死亡原因としても多い。普通の肺炎の場合は透析室内での感染拡大は通常は起こらないが、結核やインフルエンザなどでは相当に神経を使う。もしも新型インフルエンザが流行すれば簡単に当院は患者もスタッフも僕も甚大な被害にあい閉鎖され倒産し家族は路頭に迷うだろう。

今回の患者は年末に妻が肺炎で他院に入院し、夫である患者に感染させた疑いがある。そしてこの患者も同室の他の患者やスタッフに同様に感染させるかもしれない。入院させたが入院先でも感染の恐れは同様にあり、結核などは毎年このような患者持込院内感染が各地で散発している。犠牲者の多くは不幸にも看護師など医療関係者である。

 

結核より遥かに感染力や毒性が強いと想定される新型インフルエンザの場合にも恐らく今回の様に院外の患者から感染した透析患者がウイルスを透析室に持ち込み感染を拡げる事になろう。透析治療の出来る感染対策病棟は全国でも僅かであろうから完全にお手上げだと僕はかねてより心配している。

 

もしこれを読んでいるマスコミ関係者の人がいれば、ぜひ政府や厚労省に伝えて欲しい。「透析患者は定期薬を備蓄しても、他の病気の患者の様に自宅待機など出来ない・・」と。医療費削減に躍起となっている高官からは「高額医療費を使う患者が大きく減れば財政健全化が出来る・・」などという恐ろしげな声が発せられそうだが、これは透析医療現場からの悲痛な叫びである。政府も官僚もマスコミもボケッとせずに何とか具体的な対策に乗り出して欲しい。

 

そんななかで「朗報」が本日飛び込んできた。

英国Acambis社、万能型インフルエンザワクチン(ACAM-FLU-A)の開発に成功(4日) 

これは恐らく「大きな進歩」だと思う。これまでの新型対策用(備蓄された)ワクチンはプロトタイプで実際の新型パンデミック用ワクチンではないため有効性には限界がある。恐らく優先的に現在保有のワクチンを接種されて最前線に送られた多くの医師や看護師は次々に感染して死ぬだろう。その不備なワクチン接種に当たっては「職務を全うする」という同意書をとるという噂まで専門家の間で当然の様に語られている。すっかり医療現場では意味をなしていない同意書ではあるが、「死んでも戦え」という命令書と同義であろう。

 

このACAM-FLU-Aワクチンの開発と効果試験の開始は夏ごろ発表されていたが、今回その効果を確認したとの発表があったのだ。A型の全てに有効で、製造に卵を使用しないことも製造スピードや副作用や安定性の面で価値が高いものと思われる。しかし、人への実用化には早くても3年を要するとも発表された。しかし大きな進歩だと思う。

 

実際にパンデミックを起すウイルスの型が決まらなくても大きな有効性があるのは極めて魅力的だと思う。英国とベルギーの会社が製造開発を行っており、類似の新しいワクチン開発競争が世界中で行われているが、日本も特殊法人を10位閉鎖してワクチン開発費を捻出したらどうか? 紀尾井町参議院宿舎なんて不要でしょう。道路も一年くらい我慢したらどうだ? キャノンもトヨタも数年分の利益をパンデミック対策にまわしたらどうだ? 

この前も不幸なるパキスタンンのヒトヒト感染死亡例からウイルスを採取したWHOとCDCにもウイルス株を世界に公開してワクチン製造を急いで欲しいものだ。世界中で協力しあわなくてはならない。

 

不安と期待・・・人間の英知が勝つか?ウイルスの本能が勝つか? 邪魔するのは経済優先主義者の偽政策だという気がしてならない。

 

読んでくれてどうもありがとう。