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Back To The Street ふろむ診療所

最後の一冊【ギャンブル依存とたたかう】

医療機関の倒産件数が昨年の1.5倍になったという。小泉不況で病院の経営状態が悪いことは悪徳金融機関には周知の事実であり、変な金融機関が「病院再生金くれファンド」を作ったり、PFI病院なる「不良債権累積システム」を澄ました顔して構築している。

 

どこで聞きつけたか、当院にも毎週毎週「融資します。来店不要・・」などという高利の金融業者からのFAXが舞い込んでくる。中には野球チームを持ってイメージロンダリングを行っている金貸し業もあるようだが、そんな高利貸し会社がパチンコ・スロット業界と組んで日本を破壊しようとしている。

 

パチンコ業界は医療業界に匹敵する年収30兆円。ギャンブルではなく「遊技」らしいが、換金するのはギャンブルでしょう?と警察に言っても無駄な社会、ニッポン。情けない・・・

平安時代に「双六」が禁止されて以来、鎌倉・室町・江戸・明治と政府は賭博の恐ろしさに毅然たる態度で臨んできたものの、戦後の日本には「公営ギャンブル」が雨後の筍の様に蔓延り、宝くじやトトなる巻き上げ賭博や、サッカーくじなるギャンブルが庶民を貧民に貶めている。

新興成金は成金で「株取引」なる嗜好性ギャンブルで浅き夢見て破産し塀の向こうに暮らす羽目になる。その兜町賭博場の胴元や委員会のゴロツキが「医療費が高すぎる。医者は儲けすぎ。混合診療を・・・俺らに分け前を・・」とヌカす品も徳も無い「美しい国ニッポン」には、約250万人の「ギャンブル依存症患者」すなはち、「病的賭博」の患者が居るという。そしてその4~5倍の家族がギャンブル依存症に苦しんでいる事がなかなか規制されない事は、社会の病理が理解されていない証左であり、役人と政治家と政商と暴力組織が支配しているという非文明国家の真の闇かもしれない。

 

前置きが長くなりました・・・以上はヤブ医者の戯言です、聞き流してください。

 

さて、僕は小説家であり精神科医の【帚木蓬生】先生の大フアンであり、小説全作品を読んできた。期待を裏切られたことは一度も無く、先生に戴いたサインに涙を流し、年に一度の新作を七夕の日の様に待ち望みながら暮している。当然、当ブログに感想を何度も書き連ねている。

そんな帚木先生の著書の中で、ただ一作だけ読んだことのなかった本が今日ご紹介する【ギャンブル依存とたたかう】という新潮選書である。これは、ギャンブル依存症に悩む患者とその家族、その支援者だけでなく、「病的賭博」の治療法に馴染みの無い我々医師にも本当に役立つ「医学書」であり「啓蒙書」である。

 

恐らく帚木先生にしか書けない素晴らしい「プロローグ」と「エピローグ」・・恐ろしいことに自分にも思い当たる岐路が何度もあった。僕の父も僕も・・・日本に暮らす限り国民皆が「ギャンブル依存症」に簡単に陥る危険性を抱いているようだ。子供らも例外でなく、「ゲームセンター」や「各種ゲーム」が子供たちの「依存症へのレール」を引いていることに我々大人たちはもっと慎重にならなければいけないようだ。

恐らく、当ブログの読者の夫々が何らかの徴候を示しているのではないかとさえ思う。少なくとも僕は、「一歩手前」までは行ったかもしれない。でも、この素晴らしい本に出合えて僕には明るい将来が戻ってきたと感じる。

 

帚木先生には大変失礼な話であるが、僕は先生が小説家として偉大過ぎる存在であるために、先生の精神科医としての仕事に敢えて眼を閉ざそうとしていたかもしれない。「恋人の日常生活を知りたくない」という複雑な片思いの心境かも知れない。それも医師なるが故か?

しかしながら、僕にとって「最後」のこの本は、先生の評価を一段と高く登らせたものとなったようだ。

全ての日本人にお奨めしたい「現代日本人の必読書」だと僕は思う。

 

読んでくれてどうもありがとう。