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Back To The Street ふろむ診療所

Groundhog Day

先日、【Earth】という映画がBBC放送記録映画のデジャ・ブの気がしてつまんなかったという記事を書いた。既視感(デジャ・ブ)という感覚は、診察室でよく感じる感覚だ。

実際には、「デジャ・ブ」ではなくて、本当に同じことが繰り返すのであるが、認知症のお年寄りの診療に当たるとき、何度も「同じ話、同じ訴え」が披露される。

『う~? この話、前にも聴いたかな?』と以前のカルテ記載を捲ると同じ訴えが記載されている。そんな不定愁訴という名の訴えを真面目に毎回カルテ記載しているバカ医者にとって、デジャ・ブ感覚は毎度のことである。逆に言うと、こんな年寄りの繰言を嫌がらずに聴ける忍耐力がないとお年寄りには好かれないのである。しかし、聴き続けることが楽ではないことは容易にご理解いただけるものと思う。

 

さて、そんな「デジャ・ブ」・・・今日は正月の4週後で、予想通りヒマで、ちょっと外に出てみると何となく暖かな陽ざしで気持ち良かったが、昼間に外に出ている自分に驚いて直ぐに院内に引っ込んでしまった。そんな自分がなんとなく、Pennsylvenia の冬眠から覚めた【 King Phil 】に似ているような気がした。そう、あの有名な「Groundhog」である。

 

ちょうど僕がペンシルベニア州に留学していた1993年2月に公開された「Groundhog Day」は、ペンシルベニア州の小さな町を舞台にした映画で、【恋はデジャ・ブ】という邦題だった。

冬眠から目覚めたフィル君が再び冬眠に入るのか、そのまま活動するか・・・これを春の到来予報にしている北米の行事で、2月2日が「グラウンドホッグデー」とされている。

 

この映画、しつこいほど同じ日(2月2日)が繰り返す「デジャ・ブ」恐怖症になりそうな映画であるが、「同じ事を繰り返す人間がいかに尊大な態度を取ってしまうか」が実は描かれている。ある日、改心して他者のために生きようとする主人公・・・ここで真の幸福にようやく巡り合える、という教訓映画でもある。

 

僕ら医師、特に開業医は、ともすれば患者の同じ繰言に悩まされるうちに次第に尊大な態度を患者にとってしまっていることがある。なにも医者だけではないが。後で自分で気付いて反省もするが、身近なスタッフに注意してもらえる院長は恵まれてもいる。確かに患者さんの繰言といえばそうなのだが、その中には解決可能な繰言も含まれていて、それを解決することに喜びを見つけられるようになる頃が開業医としては最も充実した頃かもしれない。

実際にはなかなか気付けないし、そのうち気付いても苦労して対応していける気力が失せるようになるようなので、開業医の華の期間は決して長くは無いが、地域の中で真に喜んでもらえる数年間が存在するのであれば、開業医になってよかったと死ぬ時思えるのかもしれない・・・

 

そんな「デジャ・ブ」感覚をビシビシ覚えながら、懐かしのデジャ・ブ映画を思い出して、この悲惨な医療冬の時代に「僕も冬眠したい・・」と更に悩んでしまった麗らかな陽ざしの一日でした。

 

読んでくれてどうもありがとう