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Back To The Street ふろむ診療所

セクハラ逮捕の恐怖

開業医が時間外診療をしない・・と因縁を付ける輩が少なくない。

でも、実際には結構時間外診療をしてはいるものだ。このことは過去に何度も書いたが、暇なら探して読んで欲しい。

しかし、今宵の患者はチョットやばかった。

 

何度か心臓関係で診察したことがある中年女性、電話では「下腹部がはり、尿が出にくく痛む・・・」との事だった。う~、どうしたものか? かつて先輩から紹介受けた遠方の患者さん、わざわざ電話して来た。当院が透析してるので、「トイレのトラブル 8千円」じゃなくて、排尿障害も診察可能と思ったのであろう。一応、OKとご返事して来院してもらうことにした。

 

しかし、なんとなく不穏な雲行きが・・・ そう、「導尿」が必要になるかもしれないのです。

(一般人の皆さんにご説明しますと)、「導尿」とは、尿道口から細い管を挿入して膀胱内に溜まった尿を外に出してスッキリさせてあげること。女性の場合には、下半身の下着を着脱させ、大陰唇を左右に開き、小陰唇を左右に開き、陰核と膣口の間に僅かに開口している尿道口付近を消毒し、そこから導尿用のカテーテルを膀胱内に挿入して排尿せしめること・・と、定義されます。

このような純粋な「医療行為」を、患者の他に誰も居ない夜間の診療所の処置室で内科医が一人で行いますと、たとえ必要で崇高な診療行為であっても、『セクハラだ~、変態murajun先生だ~、逮捕しろ~』と、訴えられる可能性がありますし、マスコミ報道され書類送検されれば、『それでもボクはやっていない』といくら叫ぼうが、僕の「医師生命」も終わりかもしれませんし、家庭も崩壊するかもしれません。

しかし、夜間に帰宅した看護師を呼び出して同席させることは、時間外報酬や労働基準法の問題も絡んで悩むところです。看護師にも家庭もあります。

 

結局、逮捕されてテレビに名前が出るよりマシ・・と判断して、看護師にきてもらおうと電話で呼び出しますが、皆出かけているのか留守録です。『お暇なら来てよね、私待ってるわ』と吹き込んで待機中に、患者さんがお出ましです。

ちょっと、鋭い目付きの旦那さんが一緒でした。1対2の構図です、ますますヤバイです。

 

診察の結果は、巨大子宮筋腫が尿で充満した膀胱を圧迫して尿道を屈曲させ、尿閉を来たしていると超音波検査が物語っていました。これなら、導尿が有効でしょう。昼間の診療時間帯であれば、うら若き女性に対しても僕が挿入してあげられます。しかし、・・・夜間、僕しか居ませんと、付き添いの旦那から突然クビを絞められかねません。何しろ、奥さんのアソコに顔を近づけて管を入れようとするのですから・・・

僕は悩みました。やれば治る、やらねば苦しみが続く・・・

 

そのとき、幸運の足音が高らかに響き、悲壮な留守録を聞いた看護師が駆け込んできました。危機一髪で何とか助かりました・・・。僕は事情を話し、看護師に導尿カテーテルを挿入してもらいました。勿論、予想通り、スッキリです、感謝です。

 

こんな訳で、看護師があと暫らく遅かったら、僕は明日のテレビを『セクハラ内科医、夜間の診療所で猥褻行為を行い逮捕される』と、賑わしていたかもしれません。冷や汗ものでした。

世間やマスコミや厚労省は「開業医は夜間も一人で倒れるまで働け~」と仰いますが、開業医が【セクハラ逮捕】されても助けてはくれないでしょ? 危険なことが沢山潜んでますよ、夜間の診療は・・・

 

読んでくれてどうもありがとう