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幸せな リタイア

昨夜は医師会の小さな委員会に出る用件があった。久しぶりの医師会だったが、「総悲観」で暗い雰囲気だった。

その中で一人だけニコニコ顔の老開業医が居た。来月末で息子に実権を譲り「前線撤退」をするという。実に爽やかな笑顔、他の参加者から「辞めれて幸せですね・・」との言葉に破顔一笑、『皆さん、いつまで頑張りますか? もう開業も馬鹿馬鹿しいですね。借金が無ければ、さっさと畳んで厚労省と縁を切ったが楽しく生きられますよ。バカな政治家や役人のせいで日本も良い時は終わったし、あとは家内とユックリ世界でも廻り、移住先でも探そうかと考えとります・・』とのことだった。

 

確かに、借金を抱えながらの開業は馬鹿馬鹿しい時代になった。留学中にアメリカの開業医と日本の開業医のシステムの違いを痛感していたのでアメリカ型の開業医の「想像」は容易であるが、なぜ目指すのかの「理解」は全く僕には不可能である。

恐らく、政治の差、指導者とかリーダー選出の差なのであろう。マスコミの質の格差も大きな要因であろう。有力候補のオバマもヒラリーもマケインも実に逞しい。実に自分の言葉で国民に堂々と理想を語りかける。それに比べ、森、小泉、安倍、福田といった日本の首相のなんと地味で軽薄で小さなことよ・・・

 

実は僕も自身の引退を時々「想像」するようになった。まだ40代なのだが、この国は数年を待たずして終わると思う。かろうじて5年くらいは生活は可能であろうが、10年先の未来は本当に暗そうだ。そのとき、僕は何処で暮そうか?と思って想像を世界にめぐらせることがある。

旅をするにはヨーロッパが良いが、やはりアメリカで暮した数年間が思い浮かぶ。しかし、もっと規制や監査や相互監視や税金の少ないノンビリ大らかな国で暮そうかと思う。仕事は医師でなくても構わない。出来れば暖かで、海が綺麗で、高給官僚がのさばっていない国。他の人の税金をドンドン使ってもなんとも感じない人が少ない国。そんな国が良いが、最近の日本以外の国はどこも幸せそうに見えてくるから不思議だ。そんな国の浜辺で「文章や物語」でも書いて暮せたら最高だろう。

 

僕がこんなに早くリタイアを望むようになるなんて・・・ 一年前には全く考えもしなかったが、年取って気持ちが萎えたわけではない。気持ちも意欲も充実し、様々な好奇心も膨らんでいる。云いたいことも山の様にあるし、年齢的にも悪くない。まだまだ女性とも楽しい時を過ごせる自信もある。

 

ただ、医療に対しての愛情というか熱意というか奉仕の感情が急速に薄れ行くのはハッキリと感じている。もどかしい、という感情かもしれない。恐らく、こうして勤務医が逃散していくのであろうが、同じように開業医も引退・転職を考え出すと思う。

続けて幸せな未来があるのだろうか? 

誰のために犠牲を続けているのだろうか? 

誰に縛られながら苦しみに耐えているのか?

沈む日本の医療を支える気力は誰に残っているのか?

政治家や官僚やマスコミは医療破壊が楽しいのか?

 

どうしようもない閉塞感と総悲観論・・・

幸せなリタイアを僕も渇望していることを告白しておこう。

 

読んでくれてどうもありがとう