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Back To The Street ふろむ診療所

久坂部羊の新刊

m3ブロガーに人気がないというか 強烈に批判を浴びている医師で作家の久坂部羊さんの新刊【まず石を投げよ】を読みました。今年の1月頃、批判的ブログ記事が沢山m3にも掲載されましたが、その中で春野先生から教えて頂いていた題名と同じでした。

 

海堂先生の新刊に引き続いて一気に読み終えましたが、甲乙つけがたい読ませるミステリーに仕上がっていました。海堂が厚労省や法律家に向き合ったように、久坂部はマスコミと患者に向き合います。

身近な「海堂ワールド」は少し向こう側の「久坂部羊の世界」とは異なります。更に色鮮やかな「帚木の時空」や秘めやかな「渡辺の情景」とも異なります。「医学部のぺインター、海堂」、「狂気の鬼才、久坂部」、「愛と誠の芸術家、帚木」、「エロスの自由人、渡辺」・・・どれも褒め言葉です。

http://blog.m3.com/BackToTheStreet/20061218/3 

僕は久坂部をかねてより評価しています。医師としてよりも作家としてですが、突飛なアイデアや描写力は素晴らしいと思います。少々タブーを扱い、現実離れした内容や設定もありますが、普通の医師には思いもよらない天才的閃きを感じたりもします。

 

彼は少なからぬm3ブロガーに批判を受けていますが、今回の新刊を読むと筆は確かですし、マスコミに対する理解度も僕らよりうんと上でしょう。これのために故意にマスコミ内に潜入しているのでは?と好意的に感じたりもします。

ただ、終りがちょっと・・・ もう少し女性ディレクターの言葉を聞きたかったし、医療ジャーナリストにも語ってほしかった。

また、診断や治療に関する医者の「医療ミス」と、小説内でマスコミの行った行為を同列に論じるマスコミの論調はナンセンスだと思う。同じ「隠蔽体質」だとしても、小説内の医者の行為は「ミス」以上のものではないが、マスコミの行為は「犯罪」以外の何物でもない。ここを甘く論じていたのは少々矛先が震えていたのか?やや残念だ・・・

 

でも「破裂」の強烈なイメージから 前作「無痛」の行き詰まり感を今回はきちんと脱皮したと思うし、僕は素晴らしい作家だと思う。

仲間にしたいし語り合いたいのは海堂だが、自分が書きたいのは久坂部のような本かもしれない。

 

海堂の作品群は、流行のテーマで次々に論文を発表するホットな世界的研究グループ・・・  久坂部の作品群は、時々インパクトのある論文渋くを載せてくる二流大学の優秀な研究者・・・  そんな感じかな?

 

読んでくれてどうもありがとう