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生命保険 雑感

最近ネットで生命保険会社の裏事情が暴露されて、「暴利」の公表に世間は怒り、生保業界も別の意味で怒っているらしい。AIGの実質破綻があった後も TVなどでアメリカ系生保会社が加入者を執拗に勧誘しているが、なんとも白々しい白昼夢を見ているようだ。

 

先に、特定検診導入後の生保業界の危険性を書いたのであるが、一般人には理解しづらかったかもしれない。しかし、生保業界と特定検診との関係は非常に危険である。

年金と同じく、世界秩序が変わろうとする今、生保は完全に当てに出来ない「幻の資産」へと変貌したようだ。

例えば、「新型インフルエンザ」パンデミック時期における死亡保険金の支払いは・・・・残念ながら期待できない。保険会社の支店長・営業所長クラスの人に聞いても「パンデミック期の死亡保険金を必ず払います」と言い切れる人は見かけない。64万人も短期間で死ねば・・・払えるはずがない。

「神戸大震災の際には払いましたよ」と自信有り気に言われるが、その100倍の死亡者が短期間に生まれ、かつ無数の病人に対して保険料が払えると考えるのは幻想にしか過ぎないだろう。ましてや、神戸のときは日本の経済は崩壊していなかったが、パンデミック期には日本経済も同時に止まって保険会社の経営環境は無茶苦茶悪いはずである。その前に、金融危機の現在においては既にAIGだけでなく多くの保険会社が「短期、大量の死亡者」に対応できる体力は完全にないと考えるべきである。それを「絶対に何があっても保険金払います」という担当者がもしいれば「嘘つき」と呼ばれても仕方ないのではないか?

 

そんな中で、厚労省の非常識官僚どもは「新型インフルエンザ対策を取れ」・・と公務員でもない医師に言う。死んだって死亡保険金が支払われないのに「インフルエンザと闘って死ね」というが、僕らが開業時に抱える「巨額の借金」はチャラになるのか? まさか銀行が借金をチャラにするとは思えず、残された家族の将来は暗黒のものとなる。せめて医師に戦えというなら「生命保険と国家補償は絶対に家族に支払う」という言葉がほしい。でも、期待できないだろうから、医師に無理強いはご法度だ・・・ 「死んで借金だけを残すくらいなら医師を辞めて生き残る方がいい」と考える医師を批判はできない。

 

さて、先日うちに若い保険加入希望者が審査を受けにきた。何を聞いても遊んでるようなからかわれてる様な不思議な若者だった。この10年でも初めての経験、精神的な問題か、性格的な問題か、まともに診察もできなかった。小学生でも書ける漢字を書けなかったが、総理でも簡単な漢字を読めないので別に不思議でもない。

僕はこの10年で初めて審査を辞退した。「僕は加入希望者の審査に全く自信がない。僕の常識では理解できないタイプの人間、加入時の支障の有無の判断を辞退したい」と保険会社に告げた。

 

その時、とっさに思い浮かべたのは3点・・・

1)千葉のK容疑者がもし審査に来たらどう判断した?

2)辞退自体が反感をもたれる事態になりはしないか?

3)裁判員制度での死刑判決(他人の運命を決めること)の困難さ・・・

 

年金も生保も世界が順調に回って発展してこその「脆い制度設計」になっている。「世界恐慌」や「新型インフル大流行」などの世界的・国家的危機においては「夢幻の偽金・資産」に変化してしまう。

第二次大戦後の60年の平和が奇跡だったように感じてしまう。年金や生命保険・・・これらには「数年先が見通せない現代」は似合わないと感じる今日この頃である。

 

読んでくれてどうもありがとう