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非正規社員問題

株式会社ってのは不況になると不採算部門を簡単に切り捨て御免にするのが当然らしい。

非常識な医者しか勤務してないと首相が証言した麻生病院はどうだか知らないが、トヨタ病院は一応今のところ存続しているようだ。当然ながら、産科や救急や小児科もどんどんやっていると思う。不採算でも当然のことだそうだから・・・

公的病院から私立へ委譲された病院などは、営利企業そのままに不要な検査項目が増加してしまい、紹介すると過剰診療賛成みたいで恥ずかしい思いをする。以前より逆紹介も激減した印象。だから株式会社が病院経営すると破廉恥になりかねない・・・あくまでも 一般論。

 

さて、表題の「当院の非正規社員問題」である。

もちろん、一人も解雇や時短など破廉恥なマネはしていない。ただ、一人の看護師が自主的に退職予定だ・・・ 家計が苦しくなったのであろう。これまでの扶養家族の枠内での勤務を出来るだけ伸ばしたいとのことだった。非正規での時間延長は簡単なのでOKとした。ただ、それでは不足だったようで、他の職場に移籍することになった。相談もなく、あっという間で少々悲しい。が、当院では現時点でも正職員比率が高く、定年まで解雇の不安もない正規職員には現時点での仕事量が無いので無理だった。それに医療業界の将来像も描けない現状では、正職員比率が高すぎるとリスクが高すぎる。スタッフ一同、泣く泣く残された人員で乗り切る決意を行った。

ただ、患者数が減らない(仕事量が減らない)状況では出来るだけ職員の減少は回避したい。若い看護師の妊娠出産休暇や中堅スタッフの病気などにも備えたいし、新型インフルエンザ流行時の欠勤率も気にかかる。業務停止期間が長くなると日本中の企業体での給与支払は不可能になりそうだ。解雇というより連鎖倒産の嵐が新型インフルエンザとともに到来しそうだ。透析だと欠勤スタッフの増加は事故に直結してしまうのだが、昨今の医療費削減政策によって余剰職員を平時に積極採用する余裕など全く無い。危機管理の観点では医療業界は危機的状況で、パンデミック期に最初に崩壊するのは恐らくは我々医療機関であろう。外出自粛もままならない業界の悲劇と後世伝えられるのであろうか・・・

 

この冬のボーナスは非正規社員には過去最高の支給を行った。定額給付金が年内だったら増やさなかったかもしれないが、阿呆のスピード感が思いのほか遅いので困ったものだ。昨年に比べて非正規優遇がバレてしまい、一部の正職員から「先生はパートさんを優遇し過ぎ・・」と苦情が挙がったほどだ。だが、最も保護すべき対象のパート職員を守ることが企業を守ることと僕なりに考えての年末対策だった。

 

産休制度にしても不況下では運用には苦難が付きまとう。患者数や人員規定がある介護では産休でも業務縮小とか出来ないので非正規社員での補充を考えざるをえない。専門技術を持たない短期の派遣に務まるハズはない。もちろん、産休終了後に復帰すれば非正規社員の勤務時間は以前のレベルに減らしたいところ。これに対して質問が飛んだ・・・「パートの時間は今後減らされるのですか?」

僕は「当面減らさないし、安心して勤務してほしい」と宣言した。ただ、正職員からは、「パートを減らして正職員の給与増額を・・」という本音がちらりと漏れた。無理もない、正職員なりに昇給は多い方がいいのである。でも、どうしてこんな社会情勢下で非正規職員の時短をやって正職員の犠牲を強いることが出来ようか・・・ 職員の家族の顔が目に浮かぶ。

これが、当院の非正規社員問題である・・・

 

読んでくれてどうもありがとう