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薔薇の名前:小説と映画

遅ればせながら(先刻予告していたように)名作の誉れ高い小説【薔薇の名前】を読み、同名映画のDVDを観た。映画の方は ドイツ人プロデューサーが フランス人監督に イタリア人小説を イタリアロケで イギリス人俳優ショーンコネリーを主役に撮らせる という「ヨーロッパ映画」だった。

 

最初に奨めて頂いたのはブログで知り合ったPさんから・・・「帚木先生の小説、聖灰の暗号を読んで最初に思い浮かんだのが エーコの作品、薔薇の名前です。読まれたことありますか?」というコメントだった。難解だと聞いてもいたので、それから一年以上も手に入れることなく過ごしてきたが、先日ご紹介した「ガーゴイル」という作品を読んださいに書評に「薔薇の名前」が出てきて、調べてみると確かに「読書界の完璧なる傑作」なる某読書人の書評まで目にすると 僕としては読まないわけにはいかなくなったのである。

 

前置きはこれくらいにして、結論から言うと、「小説も映画もどちらも実に面白い」と思った。

 

どちらも「薔薇の名前」というタイトルだが、薔薇が何を意味すりのか・・・映画を観る限り「唯一登場する女性」と思うのだが、小説の方では「女性」自身の登場場面も扱いも少なく、薔薇が女性をさすのか キリスト教社会の様々な状況をさすのか 実は良く判らなかった。でも、ダビンチコードのように「女性」あるいは「女性器」を指すというような単純なことではなさそうだ。

女性といえば、若き修道士が生涯にただ一度だけ経験する「性交」の描き方が特に映画の方ではビックリした。実にエロい・・・実際の撮影現場でもリアルさを表現するための工夫が色々となされたようだ。DVDには良く見るとペニスまで映っていて(あるべき場所がずれていたが)、登場人物以上にこっちがドキドキしてしまった。小説の方では、少女の「火あぶりの刑」とか「惜別の場面」などが無く、その点では僕は映画の方が好きである。ただ、映画だけだと理解は不十分だと思う。

 

異端審問での魔女裁判から火あぶり刑にかけても、小説は詳しくはあるがキリスト教徒以外には無駄に詳しく、そこまで書かれても覚えられもせず真偽を確かめれずもせずで、「これが仏教のはなしならなあ~」と思ったりもした。

 

最後の20%程は内容も映画と小説では異なるが、やはり映画を観て小説を読む・・・という順番の方が理解を助けると思われる。最初は小説だけに挑戦しようとしたのだが、30ページ程で諦めて映画を楽しんだ。

映画は邪魔・・という意見もあろうが、日本人にとっては映画でのイメージ取得は先入観という害よりも予備調査という益の方が大きいと思う。

 

少々、満腹感を感じる作品であるが 確かに凄いと思う。暇と根性がある人には読んで欲しい。ただ、僕にとっては同じ中世ヨーロッパを描く作品としては、事件を50年後の視点で描いた「薔薇の名前」よりも、現代の視点で描いた「聖灰の暗号」とか 「ラビリンス」とか 「ガーゴイル」とか 「ヒストリアン」とか タイムトラベル的要素の沢山詰まった作品群の方が好きになれる。「ダビンチコード」などもその一つだ・・・

 

読んでくれてどうもありがとう