Welcome To The Heartland

Back To The Street ふろむ診療所

就任式の翌朝・・・

今日(未明)は第44代アメリカ大統領の就任式の日でした。僕は結局、生中継ではTV放送を見ることなく寝てしまいました。今日の診療に万全の体調で備えるためです。

思えば、16年前のこの日、若きクリントン大統領の就任式のTV放送を留学先の大学研究所のロビーの床に車座で座りながら、多くの研究仲間たちと真剣な眼差しで見つめていたことを思い出します。月日の流れるのは早いものです・・・ もう、僕より若い人が大統領になっちゃいました。

 

今朝の当院はお陰様で?大繁盛でした・・・ 

沢山の患者さんが院長をお待ちでした、まるでワシントン・モールにて大統領を迎える200万人の群衆の様に待合室は大混雑でした・・・嘘です。たった40名ほどでした。

 

午前の中盤、大動脈瘤で大学病院での手術待ちの患者さんの浮かない顔がありました。

『数日前から、風邪気味で・・ ちょっと良くなったかなぁと思ってたんですが、今朝からどうも調子が悪くて・・ 手術日が先延ばしで決まらなくて精神的に参ってるからでしょうか? 今朝は食事も入りません・・』

そんな訴えです。関西から昨年引っ越してこられた患者さんですが、凄く品の良い方で 海外でのお仕事なども昔されていて、なかなか穏やかな笑顔の絶えない患者さんです。それが、今朝は全く暗い面持ちで・・今にも前のめりに倒れこみそうな雰囲気です。

「風邪症状は改善途中だったみたいなのになあ~ 血圧はOKだし、微熱程度だし・・ うん? 脱水とも思えないのに脈が・・ 咳も軽いのに呼吸も荒いぞ・・ なんか変だぞ、風邪じゃないぞこれは・・・」

 

急いで心電図で確認しますと、心拍数が一分間に165回程度の「発作性上室性頻拍症」でした。この患者さんの心電図異常は当院では初めてですし、関西の前医からの紹介状には不整脈に関する記載がありません。当然、本人は不整脈発作が生じているなど思ってもおられませんでした。

 

手術待機中の大動脈瘤がありますが、幸い血圧上昇も血圧低下もありません。いつから頻脈が始まったか判りませんが、うっ血性心不全も認めません。でも、凄く苦しそうです・・・

で、今朝は本当に忙しかったのですが、静脈内に薬物を投与しまして 幸いにも簡単に洞調律に復しました。処置で逆にブロックが出たり悪化して、心臓マッサージなどしたら大動脈破裂が待ってるな・・と心配するほど暇ではなかったのですが、なんとか無事に治って良かったです。

『あ~ なんだか気分が良くなりました。風邪による症状ではなかったのですね。てっきり胃腸も悪くしたかと思ってましたよ・・ 生き返りました、助かりました』

心電図の改善とともに症状も消失したので 気分不良が不整脈のせいだということは間違いないようで 一件落着です。でも、初めての発作とは・・・

 

「この不整脈発作が初めてらしいですが、いつ出たんでしょうね? やはり今朝からが一番つらいのですか? 昨夜、いつもと違って何かストレスを感じることはありませんでしたか? 昨夜は良く寝れましたか?」

『いえ、そう云えば・・・  昨夜は オバマ大統領の就任式を観るために 深夜にずっと起きていました・・・』

 

ハハ~ン 不整脈を引き起こした原因が判りました・・・ オバマ新大統領の影響力は海を越え、こんな田舎町の高齢者の胸にも確かに響いたようです。

でも、更に響いて・・・大事に至らなくて幸いでした。

 

読んでくれてどうもありがとう