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負け方とは・・・難しい

最近の政治情勢が一介の開業医にそう感じさせたからではないと思うが、「権力者にとって、負け方とは実に難しいものだ」という切ない思いが胸をよぎる。

 

「映画の見過ぎじゃないか?と誰かに言われそうだが、先日、TVで「ヒトラー最後の12日間」を通しで観た。原作も読んだことがあったし、以前から知っていた(と思い込んでいた)ことが淡々と描かれていくだけのドキュメンタリータッチの映画であるが、権力者の最期に付きまとうであろう限りなき猜疑心と絶望的な裏切られ感情とが丹念に描かれている良質の映画であると思う。

 

ナチズムと他の国の政党を同一レベルで眺めたり、ヒトラーと他の国の独裁的指導者とを同一レベルで比較すべきものとは思わないし、比較も出来ない。かつて「小泉元首相」をヒトラーと酷評する向きもあったが、少々違うと思う。もちろん、敗戦濃厚の政党政治の終焉を乗り越えようとしている某国の高級スーツに身を固めた政治家も 人民スーツを自慢げに着こなした病弱な独裁者も 残念ながら次元が違うようである。ただ、国家も政党も病院も会社も・・・終わり方・負け方というのは非常に難しい、そう感じる年齢になってしまったようだ。

ちょっと違和感があったのは宣伝相ゲッペルスの態度、奥さんの尻に敷かれたような感じで・・「こんなにチャチな野郎だったのか?」という描かれ方だった。長女が死をもたらすであろう睡眠薬を飲むのを拒否する場面、史実か否か誰も知らないであろうが、直前に同年代の娘の顔を見たばかりだったので居た堪れない気がした。

 

ガソリンで自決後の遺体を焼かせたヒトラー夫妻とゲッペルス夫妻、それを信じるか信じないかもまた時の権力者に強烈な猜疑心をもたらした。ベルリンを制圧して戦勝国となったソ連スターリンは、捕らえたヒトラー側近2人から克明にヒトラー終焉への模様を聞きださせ、膨大な報告書を自分のためだけに書かせた。

 

僕にとっては少々時間の無駄とも思えた膨大な報告書が書かれて初めて、独裁者スターリンは独裁者ヒトラーの自決を納得したとか・・・ その報告者「ヒトラー・コード」は僕の本棚に読みかけのまま立て掛けられている。しかし、権力者の猜疑心とはすさまじい。勝利のためには仕方ないのかもしれないが・・・

 

しかし、本当にヒトラー総統は死んだのだろうか? と、白々しく思うのも自由であろう。

僕は帚木蓬生先生の著書「ヒトラーの防具」に描かれたヒトラー最期の時の方が好みである。ただ、史実とは案外単純なものかもしれない・・・

 

映画を観たら、もう一度、「ヒトラーの防具」を久しぶりに読み返してみたくなった。

 

一介の開業医も「職員や周囲の誰からも面と向かって批判を受けない・・・」という点において 容易に「独裁者」になりうる危険性がある。今のところは大丈夫なようだが、「猜疑心」と「裏切られ被害感情」とが繰り返し僕にも襲ってくる様になったら、医院の終焉も近づいてきたのかもしれない・・・と思うことにしている。

 

読んでくれてどうもありがとう