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源氏って面白い⑤

源氏って面白い・・・と書いてきたが、全然「推薦マーク」が点灯しない。こんなに連続してゼロ行進が続いたことは過去になく、「そんなに面白くない記事なのであろう」と涙で袖が濡れる@@先生・・・ 今回の⑤で最後にしようと決意したのでありました。医師には源氏って あまり面白くないんでしょうか?

 

さて、源氏物語は一体 誰に向けて、誰が読者に想定されて書かれたのか? これを「今日のその時」としたいと思います。 

 

まず、今回お世話になった瀬戸内訳は、光源氏が生を受け出家するまで(死ぬまで)を文庫本にして約2000ページで書き綴っている。これは古今東西の文学作品をみても非常に珍しい超大作といえるだろう。しかも現存する世界最古の長編小説だそうである。これは、「ギザのピラミッド」にも匹敵する文学界の大きな謎だと思う。最古がなぜ最良で、後の作品が凌駕出来ないのか? 

 

本当に源氏物語紫式部が書いたのか? 本当は宇宙人が書いたのではなかろうか? 複数分担説というのもあるようですし、源氏の最期が書かれていたかもしれない「雲隠」とか、藤壺を犯した場面を描いた部分が抜け落ちているなどといった研究もあるようですね。

僕は紫式部が一人で全て書いたとは信じれません・・・

理由の一つ目は、和歌の質の高さと数の凄さです。女性一人が書ける内容とは思いませんし、もし彼女だけで詠んだとしたら史上最高の歌人の一人であると紫式部を讃えたいと思います。僕にとって、和歌こそが源氏物語の大きな魅力の要素でした。

二つ目は、光源氏の晩年、特に紫の上を亡くして以降の呆けた状況が凄くリアルに描かれていることです。つまり、男性の生涯の最初から最期まで実にうまく書き込んでいることは驚異です。今や光源氏の享年に近づいた男の僕にすら、源氏の院の最後の日々は「女性が描くには無理だろう・・」と思えるくらいです。人生の最後、光源氏にとって出家のタイミングが人生の最期と同じものとして描かれていますが、どう考えても女性一人で描ける質と量ではないと感じます。

 

では一体、その源氏の読者は誰であったのか?

平安中期に文庫本で3000ページにもなる小説を誰が読むのか、あるいは読めたのか? 印刷技術も無く、写本としてしか流通しない時代に、それほど多くの読者を想定して書いたとは僕には思えない。しかも、現代でも輝きを放つ瑞々しい恋愛小説とはいえ、一般人が読むことは時代背景からしてまずなかっただろうと思う。

内容にしても、登場人物はただの貴族ではなく「超貴族」である。すなわち、天皇家と藤原摂関家だけが基本的な登場人物である。普通の貴族は脇役でしかないし、望ましい書き方はされていない。すなはち、過去のファンタジーとしてなら別だが リアルタイム小説として考えると好んで読むだろうと想定される読者は天皇家と藤原摂関家とだけしかないのではないか? 現代人の僕には面白くても、平安中期の平民・庶民・平貴族にとって好んで読む話とは考えにくい。

 

もし、読者層がその辺に限定されるとすると・・・

読んでいて非常に感じるのが「出家や仏教」に関する記述の豊富さである。天皇家の神、伊勢神宮とか賀茂神社とかが出てくるものの、帝も源氏も女性達も次々に出家してしまう。比叡山を始めとする寺院や僧侶などが伊勢の斎院などの行動より遥かに詳しい。

「幻」の帖などで登場する源氏の院の行動・姿などには男の輝きは既に無く、まさに死期をまじかに感じながら枯れていく描き方をしている。出家こそが心を大きく占める救済の手段と捉える超貴族達の晩年。自慢の長男 柏木を亡くした父大臣の狼狽・憔悴の様も哀れを誘う描き方になっている。

 

  終に強きもの・・・ それは 女なり

  依るべきもの・・・ それは 仏なり

  託すべきもの・・・ それは 命なり

  学ぶべきもの・・・ それは 歌なり

  瞼に残るもの・・・ それは 母なり

  愛るべきもの・・・ それは 季なり

  恐るべきもの・・・ それは 霊なり

  守るべきもの・・・ それは 信なり

  赦すべきもの・・・ それは 過なり

 

まだまだあろうが、これらが「紫式部と呼ばれた人々」の最も書きたかったこと、当時の支配層である超貴族層に云いたかったことではなかったか? ということを、エロ中年医師の僕は源氏物語を初めて読み進めながら感じたのでありました・・・

もしかして・・・・これも murajun 新説でしょうか?

 

それにしても、源氏が出家し雲隠れするまえに、大切にしまっておいた女性たちからの沢山の手紙・歌の類を破り捨ててしまう姿・・・永き人生の旅の最期を見せつけられて、僕は自分自身の来し方・行く末を考えずにはいられない・・・

あ~、源氏物語って実に面白い・・・ いままで読まなくてよかった・・・

 

読んでくれてどうもありがとう