Welcome To The Heartland

Back To The Street ふろむ診療所

無理だと感じる・・

最近よく送られてくるもの・・・

 1)エッチなメール、不審なメール

 2)医学部進学専門予備校の案内

 3)新型インフルエンザ関連講習会の案内

 4)うつ病対策関連講習会の案内

他にもあるが、中学生の子供しかいないのに医学部向け予備校の案内を僕に送ってきてどうするんだろう? 一応、中を見てどのレベルの大学をターゲットにしているのかを知ると、「あ~ こんな風に僕も見られてるんだ? ちょっと開業医ってバカにされてる様で悲しいな~」と自分がウツに陥りそうで・・・おもわず快楽に逃避しようと大量に舞い込む「エッチなメール」を開こうとして寸前で留まる自分を・・・誉めてあげたい。

 

そんななか、最近急に新型インフルエンザ対策関連の講演会・講習会の案内が舞い込むように感じる。特に、WHO職員がやってきて英語などで「最新情報」を話して回るようだが、最近の中国国内での動きを見ていると、「WHO自体が中国やインドネシアなどの危険地帯の情報をどこまで知って、どれほど隠して修飾しながら情報開示しているのか?」と逆に心配してしまう。いけそうな時には申し込むが、同じ表面的な話が多く、演者の生命哲学・人生哲学の様なものが希薄で、味わいの無い話に・・・情けないなあ~と感じる昨今である。

 

先ごろ政府(厚労省)が、癌患者や透析患者団体と連絡会議を持った。当然ながら、「不要不急の自宅待機や薬の長期処方をしてもらえ」と癌患者らには言いながら、頻回の通院が必要な透析患者からの質問に対しては、「透析学会などが地域の実情に合わせて計画をたてるハズだから通院中の施設の主治医にでも聞いてくれ・・」という趣旨の回答しか役人には出来ないようである。それもそうだろう・・・良策などなさそうだから。

主治医に聞かれても、対応可能な透析施設や感染隔離ベッドは全国を見渡しても僅かであるし、指示通り「発熱外来」に行ったって透析はできないし、自宅待機を指示しても生き残る可能性は皆無である。

 

少し前に透析の某学会が「マニュアル」を作り早々と公表してしまった。僕は優等生的な「頑張ります マニュアル」は好きじゃない。それを読んで唖然とした。結局のところ、「各施設が全力をあげて逃げずに死んでも戦え・・」としか読めない内容だ。

 患者同士が接触しないように、他の患者と別に深夜などに感染者は透析しなさい・・・

 入院してる新型指定の病院から送迎して透析をしてあげなさい・・・

 隔離可能なベッドが満床になることが予測されるが、発症者・潜伏期・未発症などが混在して透析を行うことになるが・・・がんばれ

 

まさに、透析施設では どんなにPPEで防御しようと、スタッフも患者も感染しない方が難しいのではないか? 暗澹たる気持ちになるが、こんなマニュアルでは・・・早々に戦意喪失である。

 

先日、当院で今季初めての透析患者の(通常型)インフルエンザ発症者が出た。良い機会なので、スタッフと相談して「予行演習」をした。ただし、新型ではなく、通常型の感染拡大をどう防ぐか・・・? がテーマであった。

 

発症者は、透析予定日の昼前に外来に来院し、咳・発熱・筋肉痛その他のインフルエンザ症状を訴えた。待合室には10名ほどの外来患者がいて、咳をする患者からのウイルスが高齢者達に撒き散らされたことだろう。加湿器は設置されていたが、拡散は無理であろう。熱は37.8度(で設置予定の発熱外来に行くレベルではなく、もし行っても透析患者なので当院に廻されるであろう)。雰囲気はインフルエンザ・・・検査してA型陽性。

発端は中学生の息子、既にピークは過ぎていたが、検査は陰性だった。でも、タイミングからは、校内感染>家庭内感染の順番だと思われる。後は院内感染透析室内感染をどう防ぎきれるか・・・? もし強毒性の新型ならアウトだと思う。

 

僕らは患者を診断後、タミフルを一錠その場で内服させ、一旦帰宅してもらい電話連絡を待つよう指示し対策を検討した。

透析室への入室は最後、午後6時過ぎを指定。夕食は自宅で取ってもらい給食は休止。来院直前に電話連絡してもらい、建物への入室は職員専用入り口とし、外でマスクを重ね着用させ、透析室の端の「指定ベッド」に最も近い(職員専用)階段を通して誘導。その時間帯に通常は付近で透析中の患者には事情を話し、行動域が交差接近しないように配慮して移動・透析を行った。体重測定も透析室外のもの前後とも使用し、付近の空調を停止し、暖房ヒーターと数台の加湿器・空気清浄機を寄せ取り囲み、他とは臨時の透明カーテンで区分けした。

 

幸い寒さの厳しい日ではなかったが、冬場のエアコン停止は苦情も予想される。また、完全に区切ると建築確認や消防・保健所などの書類や認可申請書が増えるので甘い区切りにならざるを得ず、また医療側の経済的な負担も大きいのが問題だった。幸い換気扇の直下だったが、換気扇のパワー不足は否めない。階段が3か所あったことが幸いした。

透析終了後は、最後の患者だったので接触はなかったが、透析室の窓をしばらく開け放ち、換気を行ってスタッフと帰宅したが、通常より30分は遅くなり、11時を過ぎた。

 

もし、他の患者が帰宅後に透析開始せよ・・というマニュアルに従うと、毎晩スタッフは徹夜になるが、機械の消毒洗浄はいつやるのだろう? スタッフや僕はいつ帰宅して眠るのだろう? いつ息苦しい防護マスクを外すのだろう? とか・・・悩みがドンドン湧き上がってくる。

たった一人でも大変だが、数名の患者が同時に出れば完全に透析室内の空気はウイルスに占拠されるであろう。新型インフルエンザの患者の横(や室内)に4~5時間もじっと寝てなさい・・と云われて冷静にいられる患者はいるだろうか? 

冷静に仕事を遂行できるスタッフはどれほどいるだろうか? 医師(僕)が発症したら、医師不在ということで透析室は閉鎖されるのだろうか? そうしたら患者はどこで透析を受けるのだろうか? スタッフが倒れ、患者10人当たりスタッフ1人なんて事態が生じたら・・・・安全な透析なんて不可能である。平時でも不可能なのに、完全防護の体制で、どんどん死にそうな患者がいる所でどうやれば対応可能か? マニュアル作成者はどう回答されるのであろうか?

そのヒントは どこを探しても書かれていない・・・残念ながら「現場の崇高なモラル任せ」であるようだ。

 

僕は・・・強毒性高病原性の新型インフルエンザであれば、「無理だ・・」と感じるが、皆さんはどうお感じになるであろうか?

 

なお、先述の患者は翌日にはかなり改善傾向をしめし、他の患者さんへの感染拡大は無く、通常型への対応としては一応の成果を挙げたようだ。

でも、もし新型だったら・・・ 僕の気持は沈んだままだ。

気分転換に、「エッチな妄想」へ逃避しよう・・・かな。

 

読んでくれてどうもありがとう