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霧になって消えた・・・

先ごろ読んだ新田次郎氏の【銀嶺の人】、登場人物が魅力的で、夏休みに数冊の関連本を読み進めている。

かなり事実に近い作品ではあるが確かにフィクションであり、登場人物の出会いや別れ、山の経験の積み重なり具合が、どちらかというとドラマチックに展開していて、「事実は小説より複雑ながら地味だ」という感覚がする。これはこれで小説家の力量を表してもいるので僕には楽しい読書経験となった。

 

その小説の中には数日間、厳しい北壁や絶壁の途中で数日間のビバークを余儀なくされる場面があって、下世話な話題ながら「一体トイレはどうしたの?」という素朴な疑問が湧いてくる。これは小説中にも「初登頂成功の凱旋帰国の際に変な記者が執拗に北壁登攀中の女性のトイレ事情を質問して不快だった・・」と書いてあり、考えようによっては人間の避けては生きれぬ本質的な質問ではあるが、特に女性にとっては聞かれたくない質問でもあろう。

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そんな疑問に答えるかのような本を当事者の今井通子さんが書いている。便器メーカー最大手のTOTO出版から刊行されているが、好奇心の塊の様な僕は早速購読した・・・題して 【マッターホルンの空中トイレ】

これは、登山家として(あるいは環境問題活動家として)世界中の珍しいトイレ事情を紹介したもので、特にマッターホルンの4003mの頂上直下にある「ソルベイヒュッテ」のトイレや、アイガー北壁直登の際のベースキャンプ付近での特製トイレなど、著者でないと書けない貴重な資料的「世界のトイレ考」になっている。

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なるほど・・・そうだったのね? フムフム・・ オシッコは北壁で『霧になって消えた』のですね・・・  いや、待てよ・・・待って下さい。

 

確かに厳しい山の小屋やベースキャンプでのトイレは判りました。でもですね、本当に厳しい、特に厳冬期の高山での排泄行為はどうしてるんですか?

数日間まともな態勢で寝れないとか、凍傷が簡単に起こりそうな超厳しい登山、しかも女性もガンガン登りますよね。どうしてるんですか? そこのところの非常に厳しい場面での排泄行為の苦労話が残念ながら書かれてない、この本には。そして、医師としては非常に気になるんですね、そのあたりが。

 

この本のあとがきに南極越冬隊の方が氷点下70度の屋外でオシッコが凍るか否かを実験した・・・と書かれていました。『温かなオシッコは蒸発が凄く、それが瞬く間に空中で凍ってダイヤモンドダストみたいに美しかった』そうです。しかし、これは南極の平地で男性がオシッコしただけの話。お尻を丸出しにして「ウンチ」をしたわけではないです。氷点下70度ではお尻が凍傷にかかるでしょう。

おっと・・・じゃあ、オシッコにしても「息子の先っぽの濡れてる場所は瞬間冷凍して凍りついてポキッと折れちゃうんでしょうか? それとも、顔と同じで息子も寒さに強く凍傷しないのでしょうか? 寒さで極度に縮こまっているでしょうけど・・・

 

アイガー北壁直登は垂直の壁に3泊程ビバークするらしいですが、エベレストの冬季登攀時などでは今井さん、どうしたんですか?

ちなみに今井さんは泌尿器科医だそうで、何か名案・秘策があって、厳冬期の高山登攀中の排泄行為を安全に行う技術をお持ちなんでしょうか?

 

でも、マッターホルン北壁では 『霧になって消える』というのが正式な答えの様ですので、医学的に興味は尽きないのですが、聞かない方が(知らない方が)良いのかも知りませんね。

『あ~、考えると今夜は眠れない・・』とどこかの漫才師が言いそうな話ですね。

 

読んでくれてどうもありがとう