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Back To The Street ふろむ診療所

入院依頼・・・

北九州市で9月30日に死亡後に新型インフルエンザ感染が確認された49歳の患者は特に基礎疾患が無かったようです。国内20人目の新型インフルエンザ関連死だそうです。

今日の報道では、入院前に簡易検査で陰性となっていたそうですが、22日の入院後は別の疾患を疑って30日に死亡直前までタミフルが投与されていなかったとか。多臓器不全で意識レベルが落ちて半日程度での死亡という経過のようです。診断が難しいケースだったのでしょうし、簡易検査キットの「陰性」が先入観をもたらしたかもしれません。後から色々云うのは簡単ですけど・・・

 

さて、田舎の貧相・貧乏な当院でも 既に新型(A型陽性)インフル感染で入院を依頼した患者が2名と、陰性ながら少し疑って入院してもらった患者が1名します。

当然ながら個人が特定できない様に書くので全然参考にならないと思いますが、感染症の素人ながら現場の感触・直観を元に新型と向き合い、検査や入院依頼を行っています。まだ3名とも入院中ですが、幸いにも2名は退院間近です。

では・・・(誰だか詮索しても当たりませんので アシカラズ)

 

症例1) 基礎疾患:透析中・慢性肺疾患・ステロイド服用中・慢性心不全・閉塞性動脈硬化などなど

発熱開始後半日で細菌性気管支炎を併発、悪寒が強く食事も水分も摂取不可能で、A型陽性確認後すぐにタミフル投与。しかし嘔吐し、リレンザを引き続き投与。そして救急車にて入院先に搬送。

隔離透析しながら気管支炎の抗生剤治療を併用し、3日後には解熱、7日後には歩行可能まで改善。

 

症例2) 基礎疾患:糖尿病(コントロール不良)

発熱開始後に2日で2度の短時間の意識消失あり。簡易検査は陰性。麻痺は無く脳梗塞は否定的だが発熱原因も不明で救急車にて入院先に搬送。

タミフル使用せず数日で解熱したが、10日以上経過後も入院中(糖尿病管理目的が主)。

 

症例3) 基礎疾患:特になし 健康な30代 季節性インフルに罹患しやすい

発熱翌日にA型陽性確認。タミフル(5日)と漢方薬(3日)を処方。一旦少し改善傾向を見せたが、漢方が切れた頃に再度高熱となり、5日目に40度近くなり短時間の意識消失あり。脳症ではないと思われるが、交感神経亢進症状となり気分不良が新たに出現し、タミフル耐性株も疑い入院を依頼。

リレンザに変更後、経過観察中。

 

特徴としては・・・、

症例1)は透析患者で、推奨されるタミフル投与は基本的に一度きり。しかし、嘔吐もあり、基礎疾患の状況から思い切って初日にリレンザを併用した。初日に抗生剤も併用しており、初期の三者併用療法が命を救ったと感じている。タミフルリレンザの併用に関しては専門家にも諸説あり、保険適応の疑問もあるが、基礎疾患が重篤で肺に問題がある場合には意識障害が生じる前に試みるべきかと個人的には感じる。また、強毒型の際には躊躇すべきではないとも感じる・・・批判も多いと思うが素人の思いつきと聞き流してほしい。

 

症例2)は、白血球数は増加しておらず、インフルエンザかどうか不明のまま、タミフル使用せずに解熱。ただ基礎疾患がコントロール不良の糖尿病で、発熱後2日間に2度の意識消失をきたしているので念のため陰性だったが入院管理を依頼。発熱やインフル感染でなくても入院適応はあったと思うが・・・麻痺は無くとも(高熱のためか)意識が少し低下気味だったので、躊躇せず入院依頼した。

 

症例3)は、基礎疾患が無いが、タミフル無効で治療に反応せず、Aソ連型の耐性や新型の耐性も疑われた。一時の改善傾向は漢方の効果かもしれない。もともと季節性のインフルに罹患しやすく、家族の中で手洗い・うがいを最も熱心に行っていたのに罹患した。発熱24時間以内にタミフル開始しているが、その時の白血球数より後ではむしろ下がり、咳もなく肺は問題なかったが、末梢循環が悪くなる所見が出るなど、「サイトカインストーム」の初期も頭をかすめ、未明の意識消失が脳症とは思わなかったものの入院依頼をした。

 

以上、わずかな経験ではあるが、個人的には臨床症状や個人の背景を重視し、たとえ検査陰性でも疑ってかかり、特に重症化が予想されるケースでは抗インフルエンザ薬は早めに使用し、白血球数も参考にすべきと思います。

また異論はあるでしょうが、タミフルリレンザの併用は・・・重症化を予測した時には早期から躊躇せず行うべきかと感じます。

では、全国の医師の皆さん・・頑張っていきましょう。

 

読んでくれてどうもありがとう