Welcome To The Heartland

Back To The Street ふろむ診療所

【タマコスリ】・・・???

11月3日の「文化の日」も一日中お仕事だったので、少しは世間並みに人間らしく楽しみたくなった。昨日の日曜日は天気予報を眺めていたが、何となく朝から降水確率が高そうで、泣く泣く90%程は外出を諦め、読書して眠りについた。日頃も25時前には寝ないので、その後に・・・

そして、またもや安眠を妨げる恨めしい携帯電話の音・・・ 時計を見ると朝の4時だった。

隣に寝ていた若い女性が 『えっ、また今週も電話なの? 今から病院に出かけるの? せっかく今週は一緒に楽しめると思ってたのに・・』と不安げに聞いたが、幸いにも 『転んで頭を打ってタンコブが出来た・・・ 冷やしてればいいですか?』という患者から電話内容で、真っ暗な日曜日の未明にワザワザ出ていく必要はなさそうだった。

しかし、永年の職業病なのだろう、後から意識障害が出ないかどうか心配で、その後は眠れなくなってしまった。開業医とは困ったものだ。これでは子供が医者になりたがらない。まだまだ外は真っ暗だ・・・

 

で、僕は例によって突然に決断をした。「今から山へ行こう・・・」と、まだ暗いなかをそそくさと身支度をして愛車のスポーツカーで高速道路をひた走り、一年振りに豊後富士・由布岳へと向かった・・・。昨年の10月に数十年振りに登った由布岳に今年も魅かれる様に。

しかし正しくは、由布岳の西の峰から東の峰への北回り【お鉢廻り】の魅力に引き寄せられて、妙に暖かな「立冬」の朝に、『恐らく曇ってるだろうけど・・・』と思いつつ、朝8時に到着して登り始めた。御覧の様に紅葉は美しかった・・・が、頂上付近の雲行きはやはり怪しかった。

 

参考までに、以下は昨年の【お鉢廻り】初体験の記録である・・・

http://blog.m3.com/BackToTheStreet/20091012/4 

 

さてさて、睡眠時間が決して充分でない僕は、sengoku38 の事を考え日本の将来を悲観しつつ、8合目まで【お鉢廻り】をするかいなか実は決めていなかった。理由は視界が悪そうだったし、岩場が濡れて滑りそうだったし、なによりも昨年の同時期に比べ責任を負うべき従業員の数が15人以上も増えていたから。更に愛すべき ワンコも2匹・・・

しかし、追い抜いた中年の男性から 『もしかして、お鉢、行かれますか? どうですか、やっぱり危ないですか? 私でもいけますか? 西の峰の鎖場は前に2度行ったんですけど・・』と聞かれた時に、ちょっと自慢げに「昨年の話」をしてしまったので後に引けなくなってしまった・・・ 『よかったら一緒に行ってください』と懇願されてしまった。その男性もネットで観て、行ってみたいけど「一人で初体験は不安だ・・」と思っていたらしい。

 

西の峰の鎖場も充分に怖いのだが、今回は幸か不幸か雲の中で、グンと落ちている下が見えないだけに怖さも半減してくれた。

僕より少々山歩きの経験も多そうで体力も有りそうな少し若い中年の男性にアドバイスしたのは、『お鉢廻りは、岩場で足をかけるポイントやルートが判りにくくなるので、初体験の場合には先行する誰かの姿をチェックした方が良いですよ。経験者が率いるグループの後に続きましょう・・・』というものだった。

 

西の峰の頂上は雲の中だった・・・

少し休むと60歳前後の男性だけの8人グループが上がってきた。『前穂に比べりゃネ・・』とかいう言葉が聞こえた。息もあまり切らさずに休憩はそこそこに【お鉢廻り】へ向かった。2人程は【お鉢廻り】の経験がある様で、追従するには絶好のタイミング・・・僕は例の中年に目配せをしてグループの後を追った。

どうやら先頭と3人目が経験者らしく、3人目の「ハゲ頭」が陽気な声で【お鉢廻り】の解説をしつつ進んでいた。時おり笑い声が聞こえる。【タマコスリ】という言葉が何度も聴こえ、そのたびに笑い声が上がる・・・

僕ら二人が急いで最後尾にピッタリつけたんで経験者と間違われたようで、「お先にどうぞ」と言われたが、前に出る勇気も能力もないので、この「ハゲ頭」オジサンの解説を聞きながら進んだ・・・

 

『あそこが、【タマコスリ】だよ。這いつくばってあの尖がった岩をよじ登って行くとタマが当たって擦れるんだよ。俺は玉が大きいから擦れて夜になるとヒリヒリする。あんたらは小さいので大丈夫かも知らんが・・』

「ほーっ、それで【玉擦り】なんやね? そんじゃ、女性はなんて言うと?」

『女性はな・・・ まだ明るいから言われん。夜になってビール飲んでから教えてやるバイ、ワハハ・・』

「そりゃ、いっぱい飲ませんとでけんね。ばってん、足が短いと玉が小さくても擦れるね」

『そうたい、足が長いと大丈夫たい。俺はサオが長いけん、サオまで擦れて邪魔でたまらんバイ、ワハハ・・・』

 

そして僕は我が股間に眼をやり、「そう言えば、去年は玉もサオも全然痛くなかったなぁ・・」と、少々悲しくなった。

前の方では、「女性が何て言うか今教えんね・・」とか言って歓声が上がっていたが、連れ添った男性が思いのほか苦労していてペースダウンしたために、前を行く「ハゲ頭」の楽しげな解説が途中から残念ながら聞こえなくなってしまった。

この【タマ擦り】・・・ 昨年は知らなかった。去年の記事に書いた様に【ナイフエッジ】、「ナイフの刃」という意味の尖った岩場だったが、確かに女性では何と言うのだろう? それとも女性にはタマタマが無いので何も擦らないのであろうか? 「ハゲ頭」は別名を知っていたようだったが・・・

 

とか何とか、二度目の僕は前を行くグループの様子を観察しつつ後ろの連れの中年の様子を心配しつつ進んでいったが、中年の様子は必死の形相で、可哀そうなくらいだった。雲の中で下が見えなくて幸いで、もし晴れて眼下が落ちている様子が見えたら足がすくんでいただろう。

ほうほうの体で東の峰に80分ほどで到達した男性には達成感と言うより疲労困憊の表情が浮かび、『もうしばらく【お鉢廻り】は結構です。私の今までで一番でした・・・』と言うや首をうなだれていた。はたして彼のタマタマは大丈夫だったのであろうか?

僕自身は昨年より楽だったが、【お鉢廻り】の危険な魅力に来年からも身を任せていいものか否か、悩むところでもある。幸か不幸か、脚も長くないのにタマタマは無傷だったが・・・

また、僅かな自由時間を惜しむように突然危険な行動をするようになってしまった自分自身が不憫で・・・ 哀しくなる立冬の一日でした。

 

読んでくれてどうもありがとう