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妻と別居

女の感というか、嗅覚の鋭さというか・・・ひょっとしたら「何か」を感じたかもしれない妻が夜になって急に別居を言いだした。

『 今夜あなたはココに寝たら? 私はアッチに寝るから。あなたがアッチに寝るなら、私は子供と一緒に二階に寝るわ・・ 』

 

その日の午後、僕は出席した研修セミナーを途中で少し抜け出して、少々良からぬことを秘かにしてしまったのだが、そしてそれは決して浮気ではなく、絶対にバレてもいないと信じていたのだが、出かけた時に着ていた服か、あるいは僕自身の身体のどこかに何か怪しげな「フェロモンの残り香」を感じたのか、そしてそれが自分のそれとは別のものだと断定したためか、とにもかくにも先の言葉が妻の口から飛び出してきた。

こんな時、たとえそれが浮気ではなかったとしても、「ひょっとして香水がついたのか?とか、シャツに口紅の赤か?とか、長い亜麻色の髪の毛か?とか、ポケットにハンケチか何かあったのか?」とか、男は異様にどぎまぎして平静を失うことがあるものだ。

もちろん絶対に浮気ではなく、絶対に後ろめたいことでは(あまり)ないと自分では思っていても、もしも香水や髪の毛などの物証が出たら、誤解もたちまち確信へと変化していく恐れもある。そもそも浮気などはブログで告白することも絶対ないし、神に誓って結婚後に浮気などしたことは(多分)ない。ただ、ある女性に言わせると、「M先生の浮気の定義は変よ」とのことだが・・・

 

まあ、ホントに疑われているかどうかわからない時に、そこで変に弁解などして深い墓穴を掘っても、一気に死期を早めてもいけないので、一切の弁解も 口答えも 説明も 何もせずに、黙って喜んで「別居」を受け入れることにした。

 

 

と言うことで、僕は家の中から追い出され、カギを家の内側から閉められ、少々寒く感じる「サンルームを改装した犬小屋」の中で一夜を過ごす事になった。

 

そこでは、久しぶりに一夜を共にする二匹のワンコ達がハシャイで僕を出迎えてくれたが、それもつかの間、妻が家の中からサッサと電灯を消したので「月明かり」の下でワンコ達と愛の言葉を交わした。

ワンコ達は暗くなると寝る時を悟ったのかハシャグのを止め、夫々のフンワカしたベッドにもぐりこんで、時おり僕の方を心配そうに眺めてはウトウトと安らかな眠りについていた。

僕の方は久しぶりの「犬小屋でのお泊り」に、夏用の薄い寝具しか準備していなかったことに気付いたが、ひょっとしたら怒ってるかもしれない妻を刺激してはいけないと、その夏用寝具で冷え込み始めた秋の夜長を乗り切ることにした。シースルーの天井からは月明かりも星明かりも見える。

 

朝までに途中で何度か目が覚めた。想像を超える寒さと 床の固さと 妻への想いから、どうしても深い眠りには至らなかった様だ。傍で眠るワンコ達は、僕のイビキに困っただろうけど、「今夜は何だか変だなぁぁ」と思いつつ眠ったことだろう。

 

外が明るくなりだした朝6時・・・、妻がドアのカギを開けて、「どうだった? 私とよりヨカッタのでしょ?」と笑顔で聞いてきた。一瞬ドキッとしたが、「犬の事かぁ」と気が付いて、『そうだよ、犬達は可愛いね、裏切らないし、尻尾振ってすり寄ってくれる。君がいなくても犬さえいれば幸せだよ』と精一杯の強がりをしてあげた・・・

「あらそう? よく一晩中一緒で匂いが気にならないわね。私なんか、嗅覚がダメになりそうよ。来週もここで寝たら?」

そうかそうか・・ 女の嗅覚なんて鈍い方が可愛いよ・・ って言おうかと思ったが、キツイ反撃を食らいそうで止めた。

そうして、久々の「ワンコとの楽しい一夜」は明けたのだった・・・

 

 

久々の妄想にお付き合いいただきありがとう