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Oguiss で デート

先の日曜日、久々に街に出て 愛する妻とデートした・・・

 

本当は、朝9時から透析学会が某大学構内で行われていて、それに最初から参加する気持ちは無くはなかったのだが、朝から生憎の雨模様で、休日に勉強しようという気持ちが急に消えうせてしまった。お疲れ院長には ちょっと気分転換が必要だ。

 

まずは、並木道に面する手造りジェラード屋さんでサンデー・モーニング・デート・・・ この歳になって、夫婦で日曜日の朝からアイスを楽しむなんて驚きの夫婦愛・・ アイスが溶けるほどのラブラブ、ですな。妻をアイス・・・、ナンチャッテ・・・ 実は、ほぼ2週毎に、この【ジェラード・デート】は続いています。そして、コーンにダブル・・が定番です。太るハズです。

 

そして、アイスに満たされた妻の『Oguiss 行かない?』っていう甘い声に誘われて、某デパートで開催されていた絵画展(即売会)に向かった。催し物ポスターに、大好きな荻須高徳さんの作品が載っていて、その日が最終日だったのだ。僕以上に荻須作品が好きな妻は気になっていた様だ。お疲れ院長には勉強よりも芸術だ・・・と、学会を放り出して即OKした。甘える妻は可愛いが、続く「おねだり」は少々怖い・・・

 

ところが、そこは僕らの予想とは大きく違っていた。その規模がまるで展覧会並みであったのだ。荻須氏の油絵が40点ほど、水彩画が5点ほど、リトグラフが15点ほどだったかと思う。以前、別の街の市立美術館の荻須特別展で油絵20点ほどの催し物を観たことはあったが、それを数としては相当上回っていて、こんなにも売り物があるのか?と、正直驚いてしまった。

聞くと、今年は名古屋や東京などの有名デパートで同様のラインナップでの販売目的の展覧会が開催されているようだ。荻須氏は今生きていれば110歳ほど、作品の多くが娘さんの所蔵らしいが、恐らくは高齢になられた娘さんが作品群を手放す気持ちになられたのであろうと邪推する次第・・・ 「購入には最適な時期でしょう・・」という説明担当者の声が胸に突き刺さる。

欲しい・・・、でも肝心のお金が無い・・・

 

愛知の出身地にある美術館を始め、全国の美術館に100点ほどの油絵作品が所蔵され居るようだが、いわゆる「売り物」の油絵がこれだけの数一か所に並ぶとは、ホントに想像もしていなかった。

 

知り合いの外商さんに、「いかがですか? この機会に。今はお買い得だと思いますよ・・」と強くお勧めされたのだが、その価格帯が小さくて1300万円から 最高で5000万円とあっては、いくら「お勉強」して頂いても、僕らには到底どうにもならないのであって、現に最終日なのに「売約済」はほんの数点しかなかった様子だ。外商さんは、僕らが買えるとホントに思って奨めているのだろうか? とすれば、僕らも買被られたものだ。彼は人を観る目が無い様だ・・

 

買えない・・と判ると気が楽になって、ジックリと作品を鑑賞した。外商さんも美術担当者さんもご親切に買うと思って詳しく作品や作家を説明してくれる。

 

荻須の初期の作品は佐伯祐三、その前はユトリロ(上の写真)にも影響をうけたみたいですね・・って。確かに有難いのだが、荻須の図集も持ち、油絵は持ってないけど リトグラフなら数点持っているだけに、ピタッと付き添っての説明よりも、静かにほっといて欲しかったのが本音だ。

買わない・・、いや買えないのに放置してくれないのは少々居心地が悪いものだ。

 

 

 

荻須氏は86歳位まで、作家活動の大半をパリで過ごされ、1987年に死去されているが、20代でパリへ渡り、短期間ではあるが、佐伯祐三氏と一緒に活動されたようだ。上の写真は佐伯氏の1927年頃の作品であるが、その作風には大いに影響を受けられているようだ。しかし、30代で他界された佐伯氏と違い、80代まで作品を書き続けた荻須氏の作風は年代ごとに味わいを変えている。その全盛期は果たしていつなのであろうか?

 

版画としては第一人気のこの赤い靴やの作品は80代の作品らしい。これは僕らも大好きで10年以上前に購入して居間に飾って眺めている。リトグラフの殆どは50歳を超えてからの作品の様だ。

 

しかし、今回多くの油絵作品を観て感じたのだが、荻須氏の20年代・30年代などの初期の作品はどうも版画にはしにくそうな作風である。後半になればなるほど塗りが薄くなり、線が真っ直ぐになり、平面的で空の少ない壁一面の作品が増え、そのある意味シンプルな作風こそが リトグラフに馴染むように思われた。

 

40点余の油絵の中で個人的に好きな順番を勝手に付けてみたのだが、その上位は偶然にも1920年代や30年代の作品が占めてしまった。少しボケているが、下の写真は僕の当日第3位・・5000万円なり。

 

見慣れた版画作品とは相当異なった、少し大胆で線が淡くかつ歪みを見せていて、若々しさと力強さがしっかりと表現されていた。とっても魅かれて、欲しくなって、値段を観て・・・溜息をついた。好きな作品は全て 4200万円から5000万円の価格帯だった。いくら外商さんが安くしてくれても、黙って笑うしかない。

僕の当日の第一位の油絵は1927年作の「白い壁の家」の油絵だったが、渡仏直後の意欲溢れ活き活きした素晴らしい作品で、作家のサインまでも特別な雰囲気で心を鷲掴みにされた気分だった。

 

このあと、東京の展示会で売れちゃいそうで、後ろ髪を引かれるような気分で会場を後にして透析学会の会場に向かった。

 

外商さんには、「ちょっと、今は買えないんだよね。また近いうちに あの白い壁の油絵が売れ残ってたらね・・」といって会場を離れたのだが、愛する妻は、その「また近いうち・・」が恐らく永遠に来ないであろうことを感じていたはずだ・・・

コレくらいになると、さすがに「おねだり」する気も起こらない様だ・・・

 

読んでくれてありがとう