Welcome To The Heartland

Back To The Street ふろむ診療所

V - tach

寒いさ中、平日は狭い診療所の鳥かご(豚小屋?)の中に籠る僕ら開業医にとって、昼休みのひと時はどう過ごすか思案の時でもある。

  疲れを癒すべく寝て過ごすか?

  ヤブ医者を回避すべく勉強して過ごすか?

  ネット三昧で糞ブログをひねり出すか?

  健康のため運動に勤しむか?

・・・最近はもっぱら運動をすることが自然になった。ここんとこ細身のパンツを身に纏って診察をしてるせいか、「ますます細くなりましたね・・」と日に何度も言われるように最近再びなってきたこともあり、ストイックな運動は欠かせない。

とりわけ今日のお昼の様に数日ぶりの明るい太陽が付近を照らすと、どこからか巨大な隕石が空を焦がして落下しては来ないものかと思わず見上げてしまう今日のお昼休みだった。

近所をお気に入りのヴィンテージ自転車でクルクルサイクリングしようかとも思ったが、今日は金曜日で透析患者が居ることにふと気がつき院内のエアロバイクで我慢した・・・

 

最近のトレーニングの友は「ER」のDVD・・・

音声も字幕も英語にして必死に活字を猛スピードで追うもなかなか眼が追いつけないのが実情であるが、それでも昔懐かしき留学時代に垣間見たアメリカの医療の現場を想い出すことが出来るのはとても楽しいひと時で、45分に300Kcalを消費すると1話が終わるのでちょうどいい加減な運動量である・・・

そんないい加減なヤブ医者の運動する隣の部屋は心電図検査をする場所でドアがある訳でないが、昼休みが終わる10分も前に看護師が心電図をとり始めていた。そして、大きな声で「PSVTです・・・」という。

PSVTと云う名の発作性上室性頻拍症は当院でも頻繁に診療し即座に治療するありふれた不整脈の一つであり、「誰?」と訊ねると看護師が「@@さんです」と答える。

@@さん? あのひとはPSVTの過去はなかったよなぁ? 初めて? でも、昔はPSVTではなくVT(心室頻拍)だったよね? だよね・・・? と自問自答しつつ汗をふきふきシャツとパンツを着替え、オシッコを済ましておもむろに心電図を眺めると・・・・

 

アワアワワ・・・・ 立派なVTジャン、これ? しかも数十分も持続してるらしい。大丈夫? 意識ある? 血圧・・・70で触診ならショックじゃん? でも意識はあるし、DC(電気ショック)を通電して治す状況とも言えないだろう、少なくとも当院では?

再び緊張と興奮の汗が噴き出してくるが、家族に説明しつつ近くの基幹病院に電話をし、救急車をコールして紹介状も書かず(書く暇も無く)救急車に飛び乗って搬送・・・

幸いにも意識は保たれ、VF(心室指導)への移行はなく、紹介先での治療が功を奏し生還された。ヨカッタヨカッタである。

持続性VTとPSVTの鑑別が難しいこともあるだけに、看護師の「PSVTです・・・」に惑わされることなく即座に「VTだよね、これ?」となったので良かったが、ノンビリとオシッコを済ましてモニターを観たのは裁判沙汰になったらどう批判されるか判らないものだ。でもオシッコ我慢してVTやVFを治療は出来ないでしょう? 便(善)は急げ・・・である。

それにしても、さっき観た「ER」で何度もVT治療が行われていたが、あいつらは「V - tach」 と言っていた。

ヴィータック・・・ ブイティーではなく、ヴィータック・・・ カッコいいなぁ

思わず紹介先に電話で、「ヴィータックです」と云いそうになったが必死に思いとどまった小心者である。

読んでくれてどうもありがとう