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Jeanne Moreau

Jeanne Moreau ジャンヌ・モロー 

最近どうも彼女に興味が向かってしまうのだ。8月に観た映画の2012年の最新作「クロワッサンで朝食を」を観たからだろう。当時85歳の彼女が演じる孤独な往年のセレブ女性の姿に不思議なものを感じたのだ。実にオーラのある老女の一挙手一投足が「演技」なのか「自然」なのか・・・ どうも演技にしては自然過ぎるのだ。上手いという表現が似合わない上手さ・・・

 

エンドロールで「Jeanne Moreau」の名を見るまでは誰が演じているのか知らなかったし、有名なその名を聞いても出演作品が浮かばないのだ。名前だけはジャンヌ・ダルク並みに知っていたのに・・・

アランドロンの主演作品、1976年の「パリの灯は遠く」は最近になって観たことがあったが、その時点で彼女は50歳くらいであったし、確かにそう見えもした。主演とは縁が無さそうにも感じたのだった。少なくとも54歳の僕が興奮してしまうほどの魅力は感じなかった。だから余計に、「どうして彼女はそんなに有名なのか?」と不思議だったし、あの85歳の若かりし日々の主演作品が無性に観たくなってしまった。どうして彼女は「ヌーベルバーグの恋人」と呼ばれたのか?

そこで、かの淀川長治さんが薦めていた三本を遡って観てみた。

1968年、40歳の作品 「黒衣の花嫁」    確かに太りだしてお腹ポッコリと言えそうで・・・ でも、85歳の彼女と確かに繋がるのである。魅力的な40歳だと思う。

1966年、38歳の作品 「マドモアゼル」    これは映像が素晴らしい。彼女も白黒映画の中で美しい教師を演じていたが、とにかく映像が素晴らしすぎて・・・ 彼女も38歳の熟女の欲求不満を見事に演じていたと思う。やはり85歳の彼女はそこに居た。演技と言うより、自然な振る舞いだったと感じた。

1957年、29歳の作品 「死刑台のエレベーター」   これは実に素晴らしいサスペンスの名作だと思う。僕が生まれる前に彼女が「ヌーベルバーグの恋人」と呼ばれていた理由が良く判る。この29歳が、あの85歳になってしまうのか・・と思うと少々切ないのではあるが、それこそが人生なのだろう。

更に5年、24歳の彼女に「現金に手を出すな」で会えるらしいが、もうこの辺でいいかなァと思う。よく判ったから・・・時間も無いし。

こうして老人の人生を映像で振り返って観るにつけ、診察室で対面する高齢者一人一人には尊敬の念を持って接するべきと改めて感じる今日この頃である。

歳をとるのは早いなぁ

あんまり歳とりたくないなぁ

出来れば振り返って「良く頑張ったなぁ」と自分で思える人生でありたいなぁ