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正直なところ・・・

正直なところ、今回の佐野さんの【名盤ライブ】と銘打った特集企画ライブコンサートにはファンの一人として少しばかり失望も抱いた。今も佐野さんのNHK-FMラジオで【元春レイディオ・ショウ】を聴きながら僕がこんなことを書くのも少し違和感を読者に抱かせるかもしれないが、偽らざる気持ちだ。

1983年のLPレコードを当時のアレンジやキーで発表されたままの曲順で演奏し歌うという特別なライブ企画は佐野さんの発案でなく別のプロモーターの企画で彼は最初に選ばれて挑戦しているだけかと思うのだが、やはり30年の月日の長さは人生と比較しても短くはないのだ。歌うというアートの輝きという観点で見るならば、残酷にも非常に長過ぎる年月と言ってもよかろう。

佐野さんが今年発表した【Zooey】という最新アルバムと、そのコンサートツアーに関しては若いコヨーテバンドとの演奏レベルは実に素晴らしく、この30年を超える彼のライブ完成度という点でもかなりの点を与えら再びピークを迎えているのかと思うし、実にカッコイイ57歳がそこには間違いなく居るのである。

それは今の年齢と声質、そして感性と年輪の様な味わいが混在した「芸術性」の表現であるからに他ならないと思う。そしてそれでイイのだと思う。何も57歳が27歳に戻ることもないし、それは生身の人間として難しいと思う。

もちろん、昔からのファンの誰も「昔のまま」を期待などしていないハズだ。同窓会の思いで短いライブに15,000円もの支払いをし、遠方からも集っていくのであろう。

先頃公開された彼の1983年の映画【No Damage】や、1987年のコンサートを描いた今年製作の映画【BEATCHILD】の方が若い時のあのままの姿を表現していて「真実」を感じてしまう。27歳の佐野さんを求めるならば、そんな映画の中に見つけ出せればイイのではなかろうか?

71歳になって11年振りの来日コンサート・ツアーを行っているポール・マッカートニーに関しても恐らくは素晴らしいパフォーマンスを見せているのだろうが、それは「当時のそのまんま」状態でのライブではないからだろう。やはり、今のポールが表現しやすいアレンジがあるハズで、それは決して批判される類いの変化ではないハズだ。

人生において、月日の流れは残酷ではあるが間違いなく誰にでも避けられない。その時々において精一杯生きていれば、きっと後で振り返ることがあれば素晴らしい瞬間として描かれていることと思う。20歳には20歳の、30歳には30歳の、50歳には50歳の素晴らしい瞬間があるのであろう。それでイイではないか。今を精一杯表現して、明日もまた精一杯生きる。そしてその翌日も精一杯汗を流し悩む。

今夜のラジオの最後は【Zooey】から「ポーラースター」だったが、実に57歳らしい素晴らしい歌唱だと感じる。

【名盤ライブ】と言う企画は一見興味深く面白そうだが、往年の名画や名盤はそのまま味わうのがイイのではないかと思う。

僕ら中年も、今の年齢で出来ることを精一杯やればいいのではないか。若い時と比べ、若い人と比べ、何も恥じることもないし無理することもない。ツマンナイ大人になったかもしれないが、精一杯生きてきてそうなったのであれば仕方なかろう。恋愛もまたしかり。

僕自身、佐野ファンとして21歳から54歳になったのだから、54歳としての聴き方で楽しみ参加するライブであれば心地好いのだと思う。

そういう意味で、これからも歳を重ねる佐野さんの活躍は大いに期待したい。

読んでくれてどうもありがとう