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Back To The Street ふろむ診療所

今生の別れ

約3年前から入居者20人弱の小さな介護施設を運営している。通所介護施設は早10年になる。その利用者のお一人が今日他の施設に移られた。96歳だった。もう二度とお会いすることはないと思う。

昨日は回診にうかがった。静かではあったが最後の言葉を交わした。この前の元旦には明るい日差しの中、食事をされるテーブルに並んで一緒に写真を撮ってもらった。この三年間、週に1~2度お会いしてにこやかな笑顔に癒されていた。職員達もそうだ。

この入居施設がオープンする前は我々の通所介護施設に5年ほど通って来てもらった。通算8年、88歳から96歳までのおつき合い、まだ何とか歩行は可能だったのだが、そろそろ当方の施設では共同生活が限界に近付いていたのも確か。費用負担の面もあり、介護度が上がって予約されていた特別養護老人ホームの順番待ちがまわって来たのが移動の理由だ。

彼女はずっと当施設とスタッフ達が好きだったようで、最近は悲しく泣かれる姿をスタッフが度々目撃している。利用者数対スタッフ数では当方が遥かに手厚いので居心地が良いのだろうが、これまで数名の同じような移動者もやはり特養の費用負担の安さが魅力だった様だ、ご家族には。皆さん泣きながら車に乗って移動されていった。見送るスタッフの気持ちは察して余りある。

特養に移動される年老いた利用者の皆さんは既に家族同様、悲しくない方がどうかしている。これは透析患者さんが重篤な状況になって入院される際の感情とも似て、両親や祖父母と永久の別れをする気持ちに似ているのである。

長くご一緒した高齢者や透析患者との今生の別れ・・・ 何度経験しても辛いものである。