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Back To The Street ふろむ診療所

もう一つの誤診

誤診の話を書きましたが、今度は誤解で受診(もう一つの誤診)の話を自分のために書き残しておこう。

今日は非常に新患さんが猛暑日だったのに多くて、お互いヘロヘロでした。

何人目かの新患として来院されたその60台の男性は、問診票に書かれた主訴が嗄声(声が枯れる)でした。それなら耳鼻科だよね・・と看護師と話をしていたら、循環器科というのが声の変化を診るとこだと凄い誤解をして来院されたらしい。

普段なら他の専門医を診察する前に紹介(案内)するのだが、看護師が「凄いおなかです、きっと腹水です。消化器科がよくないですか?」と、どうしても他へ回したい感じだったのだが、どうしても当院に来た理由が気になって問うてみたら、「親友の@@君がここの病院で病気を見つけてもらったから、どうしても困ったらここに来ようかと考えていた・・ 病院は嫌いなんだけど・・」とのことだった。

町医者としては凄く嬉しい話だった。友人に評判を聞いて医者嫌いの人が当院を受診してくれた。

だから、誰がどう見ても循環器内科や腎臓内科とは無縁そうなその患者さんを一生懸命診ようと決めた。だって、一目見て、ヤバそうな状況だったし、大至急ほかの病院に紹介する必要が有りそうだったからキチンとした紹介状を準備しようと決めたので。

問診と診察でおよその病名と程度を判断し、最低限の検査として腹部エコーを急ぎ行った。普段ならエコー専門医を招へいした日に検査を受けていただく方針だが、とにかく急ごうと思って明日の予約ではなく自分で当日施行とすることにした。

エコー検査では大量の胸水や腹水や、誰が見てもヤバそうな肝臓内の異常所見が容易に観察され、診察での推測が裏付けられたが、「あなたの病気も見つけてあげたけど、ちょっとやばいよ。ごめんねぇ」と黙ってその新患さんに話しかけた。

一通り検査も終わって説明の時、「ところで、その紹介してくれた患者さんのお名前は?」と聞くと、「@@さんです。すい臓がんで死んだけど・・」と言われた。

うちの様な循環器内科ですい臓がんを発見することは年に1度あるか無いかであるが思い出せず、直ぐにスタッフに過去の全患者で該当名を探させたが、そんな@@さんなんて当院には受診歴が全くなかったのである。

でも、まあそんなことは今ではどうでもよくなった。すぐにこの可哀想な病院嫌いな新患さんのために最適の病院の専門医宛に紹介状を準備し、急ぎ家族を伴って受診するように説得した。多分、急いで受診してくれると思う。

それにしても、この病院嫌いの新患さんは、我慢した挙句に間違った診療科を選び、間違った記憶で病院を選び、なぜか当院にたどり着いたことになる。

出来るだけのことは開業医としてしてあげたとは思うが、この患者さんがまた友人に「あそこの病院で病気を見つけてくれた・・」と言うのであろうか? 彼ができるだけ長く生きてくれるといいのであるが・・・