Welcome To The Heartland

Back To The Street ふろむ診療所

父の部屋

いま父は入院している。

今月中には退院できそうな感じで、病院内で元気になった身体を持て余しているようだが、80代後半になってチベットに、ロシアに・・・と、あまりに強行軍での度重なる旅行の疲労が影響したのだろう。今月末の小旅行は断念せざるを得なかったが、無理しないで長生きしてほしいと願っている。

ただ母が一緒に旅行に行ってくれる父親が入院してしまって一番残念な様子だ。高齢者にとっての数か月は、僕らにとっての1年以上の貴重な時間だと思われるから、一日一日を大事に過ごしてほしいし、楽しいことを可能な限りやり遂げて人生を生き抜いてほしいと思う。

仕事に現役だったころはケンカばっかりしてた印象の二人、今もケンカはするようだが、やり過ぎて脳卒中心不全で倒れてもいけないので程々に抑えているような気もする。僕ら夫婦も見習いたいものだと思う。

そんな父親はここ数年一人で家の一番奥の離れの様な部屋で寝るようになった。静かな環境で落ち着くのであろう。僕が帰宅するのが毎晩11時近いので、安眠妨害されないようにとの知恵かもしれない。

母の方は深夜まで診療所の経理などの仕事を今も熱心にやってくれているので夜11時過ぎてから僕と様々に話をする必要があって父親とは一緒の部屋で寝ることがなくなって久しい。

ただ、父親の部屋の方が二人が結婚して以来ずっと過ごしてきた部屋でもあるので、あるいは父の方がロマンチストなのかもしれない。

父の入院を機に、久しぶりに父親の部屋に入った・・・

思いのほかキチンと片付けられた部屋であることに驚いたが、入院後に母が掃除したのかもしれない。なんとなく居心地のよさそうな隠れ家のような部屋だった。

父の部屋には全く想像していなかったが、驚いたことに沢山の写真が写真たてに入れられ棚や机の上などに飾られていた。そしてその多くが、なんと自分と母の顔写真だった。旅行中の風景を背景としたスナップ写真ではなく、キチンとした姿で写した何枚もの母の写真・・・ まるで外国人の飾り方の様だった。

ちょっと驚いた・・・

少し嬉しくも感じた・・・

ケンカばっかりしてるような後期高齢者の二人ではあるが、互いに残りの人生にとって必要な相手なのであろう。かゆいところに手が届く、弱いところをいたわってくれる、そういう相手・・・

父親の入院がなければ父の部屋には入らなかったことだろう。なんとなく両親を見る目が変わった様な気がする秋の季節を過ごしている。

父も先日の美しい中秋の名月を病室の窓から眺めることが出来たであろうか? そして何を想ったのであろうか?

読んでくれてどうもありがとう