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Back To The Street ふろむ診療所

難聴97歳の口癖・・・

生涯独身、97歳の可愛いオバアチャンが当院運営の介護施設に入居されている。毎週往診して話すのだが、全く耳が聴こえておらず、会話は難しいのだが、僕を毎回笑顔で迎えてくれる。

どんなに具合が悪くても笑顔を絶やさず、「どっこも悪くありません、ありがとう」が口癖だ。

入居以来2年半ほど経過しているが、先週初めて食欲が急に落ちて元気がなさそうな表情をされていた。往診先で何も検査が出来ず診断は容易ではないが、97歳の食欲不振は非常に気懸りだ。おまけに両下肢に軽い浮腫が出現していた。何が起こっているのであろう?

縁者は兄弟とその子供・・・ 社会的エリートでもある縁者は東京在住ゆえ、具合が悪くても駆けつけることは出来ず、「なにかあれば出来ることはよろしくお願いします」と頼まれている。少し気が重くなる頼まれごとではあるが、97歳のオバアチャンも、その上品な縁者も実に感じのいい人ゆえに決して負担になることもなく自然に「任せなさい」という気分になるから不思議なものだ。患者としては理想的な人柄なのであろう。

今回の体調不良、97歳ではあるが介護施設から診療所へ来てもらって幾つかの検査を行った。腰が曲がった老体には超音波検査の際の姿勢は辛かったかもしれないが、彼女の心臓はまだまだ80歳と言ってもイイくらいの元気さだった。

週末の間に元気も既に戻っているらしく、総合的に判断して大きな問題はなさそうであった。

「特に問題なさそうですよ」と説明したが聴こえないのでキョトンとされていた。僕が指でOKサインを示して見せたら、「ありがとう  ありがとう  ありがとう  ありがとう・・・・・」と、いつもの笑顔をたたえながら、ゆっくりと大きな声で診療所を出ていくまでどのスタッフに繰り返し繰り返しず~っと何度も何度も「ありがとう」と言い続けていた。

20回くらいまでは数えてみたが、多分30回くらいは「ありがとう」を振り撒いていたようだった。

可愛いおばあちゃんのファンがまた増えることだろう・・・

読んでくれてどうもありがとう